掲載日:令和6年4月1日更新
生活保護の申請や相談をためらっている人へ
健康で文化的な最低限度の生活を送るのは国民の権利です。それを実現するための方法の1つが生活保護制度であり、生活保護の申請は国民の権利です。
生活保護を必要とする可能性はどなたにでもあるものです。もちろん恥ずかしいことでも悪いことでもありませんので、ためらわずにご相談ください。
相談支援や生活保護などの生活支援のご案内(厚生労働省ウェブサイト)
生活保護とは
生活保護とは、憲法第25条で定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するため、いろいろな給付を行うとともに、生活ができるよう「自立」を支援することを目的としています。なお、生活保護制度での「自立」という考え方は、生活保護を利用せずに生活できるようになる「経済的自立」をめざすだけではありません。例えば障がいや病気とともに、生活保護制度をうまく利用して「自律」的に生活をしていくことなども含まれるもっと広い概念です。
生活保護で受けられる給付
- 生活扶助:衣食、光熱水費など日常生活に必要な費用(年齢や世帯の人数などで決定)
- 教育扶助:学用品や給食費など義務教育のための費用
- 住宅扶助:家賃、地代など
- 医療扶助:病気やけがをしたときの治療にかかる費用
- 介護扶助:介護(予防)サービスを利用するときの費用
- 出産扶助:出産のための費用
- 生業扶助:学用品や通学費など高等学校のための費用、技能取得のための費用など
- 葬祭扶助:火葬を行う費用
保護を利用するためには
- 生命保険や火災保険などは、保険料や解約返戻金の額によっては解約が必要になることがあります。
- 現在住んでいる家や土地は、よほど処分価値が高くない限り処分の必要はありませんが、活用していない不動産などの資産については処分が必要です。
- 働ける人は能力に応じて働き、収入を得るよう努めてください。
- 病気の人は、早く病気を治したり、体調が安定するよう努めてください。
- 年金、手当、健康保険(社保)や雇用保険など、他の法律・制度による給付があれば活用してください。
- 親族(扶養義務者)からの支援は、生活保護による給付に優先します。なお、扶養義務者の支援は可能な範囲で行うものであり、援助可能な扶養義務者がいることによって生活保護が利用できないわけではありません。
- 自動車の保有・使用は身体的な障がいなどのため、公共交通機関での通院ができない場合や、車以外での通勤ができない場合などに条件付きで認められることがあります。
注意:保有や利用を認められない不動産などの処分や、年金・手当などを受け取る手続きが終わっていなくても申請できますが、生活保護を利用できるようになった後に受け取った生活保護費の範囲で返してもらわなければならないことがあります
世帯の考え方
生活保護は、原則として個人単位ではなく世帯単位で適用します。なお、「生活保護制度上の世帯」とは、「住民基本台帳上の世帯」とは違い、同じ家の中で同じ家計でやりくりしている人全員を一つの世帯としてとらえます。また、同じ家計であれば、親族関係にない同居人の場合も同じ考え方です。
生活保護が利用できるかどうかの判断
給料、年金、手当などの収入が世帯の人数と年齢に応じて国の定めた金額(最低生活費)を下回る人(世帯)であれば利用できます。
次の生活保護費の計算の説明と図もあわせて参考にしてください。
生活保護費の計算
具体的な生活保護費は、世帯の人数と年齢に応じて国の定めた金額(最低生活費)から、働いて得た収入、年金や手当などの給付など、世帯全員の収入を合計した額(収入認定額)を差し引いた不足分を支給します。なお働いて得た収入については、必要経費の実費のほか一部控除が受けられます。収入をそのまま差し引かないため、控除された分は生活費が増えることになります。
最低生活費には医療費や介護費用の自己負担分なども含まれます。
生活保護費の例(月額)
世帯の状況 | 夏期(5~9月) | 冬期(10~4月) | 備考 |
3人世帯(33歳、29歳、4歳) | 148,430円 | 163,000円 | 児童養育加算含む |
高齢者単身世帯(68歳) | 67,350円 | 76,380円 | |
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳) | 107,160円 | 119,980円 | |
母子世帯(30歳、4歳、2歳) | 177,360円 | 191,930円 | 母子加算・児童養育加算含む |
- 世帯員の状況により、このほかに金額が加算される場合があります。小中学生、高校生がいる場合は、学用品、給食費や通学費などが支給されます。
住宅扶助(家賃)上限額(月額)
世帯人数 | 住宅扶助 |
1人 | 32,000円 |
2人 | 38,000円 |
3~5人 | 42,000円 |
6人 | 45,000円 |
- これらの合計金額(最低生活費)から、収入認定額を差し引いた差額が実際の支給額になります。
支給額の計算例(冬季10月の場合)
68歳1人暮らしでアパート家賃は月額30,000円。収入は年金のみで2か月で130,000円。そこから介護保険料6,000円が特別徴収(天引き)されている場合
106,380円(最低生活費)=76,380円(冬季の基準額)+30,000円(家賃)
62,000円(収入認定額)=(130,000円-6,000円)÷2
42,380円(支給額)=106,380円(最低生活費)-62,000円(収入認定額)
生活保護申請から利用までの流れ
1.相談
福祉事務所や各関係機関に困っている内容を相談してください。
(相談からそのまま続けて申請することもできます)
2.申請
生活保護を希望する人は、生活保護を利用するための申請書類を提出します。
3.調査
生活保護の申請をすると、申請時担当の職員が生活状況などを把握するため申請日から1週間以内にご自宅を訪問します。また、銀行・保険・不動産など資産状況と親族の状況などについて調査します。
4.会議
調査のあと、生活保護申請日の翌日から原則14日以内に生活保護による支援が必要か会議を開いて審査し、会議結果の通知も行います。
5.利用開始
生活保護が決定した場合は担当のケースワーカー(支援担当者)が付き、扶助費の支給や自立に向けた支援が始まります。
生活保護制度のしおり・申請書類・添付資料
さらにくわしいことについては、生活保護制度のしおりをご覧ください。
申請書類や添付書類はすべて揃っていなくても申請は可能ですが、なるべく揃っていた方が保護を受けられるかどうかの判断は早くなります。
不足する添付資料などがある場合は後で提出をお願いします。