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ホーム市長の部屋市長日記「無罣礙(むーけーげー)」令和4年度「むーけーげー(無罣礙)」 令和4年5月1日

「むーけーげー(無罣礙)」 令和4年5月1日

掲載日:令和4年5月1日更新

美しい里山を遺したい

森林の持つ力や機能は、地球温暖化を防止したり、国土の健全な保全や水源地を守ったりと、私たちに広く恩恵を与える。しかし、誰もが分かっていますが、それが極めて深刻な状況にある。
杉などの木材が価格競争で輸入材に太刀打ちできなかったことから、山は荒れ、林業は衰退の一途でした。サルやクマの大量出没の脅威も、雪国には生息しないとされてきたイノシシやニホンジカなどの頻出、国民病ともいわれる花粉症や、水害時に脅威となる山地崩壊も、根源は森林の荒廃にあるといえるでしょう。
駆除や電気柵での抵抗も、この根源となる問題に踏み込まなければむなしい。

しかし今、大きな山が動き始めたことを感じています。世界的な脱炭素に向けた新しい流れや温室効果ガス排出削減の目標設定、災害防止への関心の高まりから変革のうねりが出てきた。
国税として、1人年額千円を徴収し、森林整備の財源とする画期的な「森林環境税」も令和6年度から。今日、自分の所有林地の境界に自信をもって「ここだ」と示せる人は少ないのではないか。所有者が分からない森林も多い。
この度の「うねり」を最後のチャンスと捉え、今年度から市は思い切った施策として「ふるさと里山再生(緊急5か年)事業」を開始します。
手が入らず人里との境がなくなってしまった里山に、緩衝帯をつくっていく。かつてなかった広葉樹などの雑木も対象とする。当市のきのこ産業はその良質なおが粉やチップ材を求めている。整備に取り組もうと手をあげる人や行政区などに、市が事業費の9割を補助し、間伐や下草刈りなどできれいに手の入った環境・景観を実現していきたい。ここから林業人材の育成・担い手確保に良い動きが生まれることも期待しています。

私は若い時から地元の生産森林組合長を長く経験しましたが、ただ管理するばかりで、先人が育み遺のこしてくれた宝が、伐期を過ぎて朽ちてゆくだけの末路なのかと、切歯の思いでした。
しかし、こんな光が差してくるとは。ここが間違いなく正念場。
立ち上がる時が来た!

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