掲載日:平成29年1月19日更新
あいさつの癖
就任から2か月あまり、ようやく落ち着いてきました。なすことすべてが初めてのことばかり。初議会、年末年始の雪不足、一転してあの大雪。膨大な次年度の予算査定。生い立ちが民宿兼食堂だったので喧噪や人に接することは苦と思いませんが、それでも想像を絶する面会や会合の連続。「新人研修のようだ」という自意識を否めません。
「市長をめざそう」と決意してから約9か月、緊張感の堅持を自戒と定めていますが、正にその毎日が続いています。ピークはやはりあの就任日、初登庁後の議場で行われた市職員への「初訓示」。本当に心臓が飛び出るかと思いました。開口の刹那、「あの時と同じだ」と頭をよぎったことがあります。
小学校6年生だった私は、児童会長として人生初の公式の場「入学式」でのあいさつに臨みました。5歳年下の末妹が新入生で、晴れの日に化粧をした母も会場に。衆目が注視する、水を打ったような静粛な空気感。初の大舞台、私は壇上でまさかの「頭の中が真っ白」状態に。やがて、ざわつく満堂。ついに「ご入学おめでとうございます」の一言も発せず降壇するという前代未聞の歓迎あいさつをしでかしてしまいました。当夜の家人の落胆ぶりは、幼い身ながら痛恨の思いとして残り、今日に至る私のトラウマとなっているようです。
あいさつの際に左胸を拳で一度たたいてから始める癖は、それに打ち勝とうとする私の儀式のようなものかもしれません。いろいろな場で市民のみなさまの前でお話しさせていただく機会がありますが、「あのことだな」と思い出していただき、ご寛容いただければ幸甚です。甲子園球児の開会式の選手宣誓。いつも息が止まる思いで見入っています。