掲載日:令和3年8月1日更新
赤鉛筆と手帳
若い時分から手帳が離せない。
人生を歩いていて、時折「かなわないなあ」と思うのは、記憶力のすごい人と出会ったとき。
学生のころはもちろんでしたが、長じた今でも先々の予定がカレンダーごと頭に入っているような人には、まさに脱帽。私は、手帳に書いたことすら忘れてしまうというのに。
書いておかないと、とにかく不安。そんなコンプレックスを隠すためか、青年のころから別冊で「夢・アイデア帳」を作っていました。
コロナ禍で巣ごもりのある日、書棚に古いそれを見つけ、若い日の自分に邂逅する思いで開きました。
28歳、地元の観光協会長に就任したばかりの私はそこに、あれもこれもと、とにかくやりたいことをページを埋め尽くすほどに記していました。読み返して、その7割が達成できなかったことに苦笑しましたが、今、市長になった私はというと、やはり続けているのです。
毎年買い替える手帳の最初のページに、この1年でやるべき課題と夢を列記。加えて、個々の課題の達成目標の期日を書き込む。
1番上に並ぶのは市長選で述べた公約の数々ですが、誠に「言うは易やすく行うは難し」。締切り破りの連続であることは言うまでもありません。
しかし、できたことだけは赤鉛筆(トンボ印の!)で、エイヤッと力強く塗りつぶしていく。「これもできなかったか」と、未達成のものは悔しいが、再度、期日を設定して記入する。
ただ、若き日にはできなかったことが、立場はまるで違うのに、今、少なからず実現できていることに時々驚くこともあるのです。
予定通りに片付けられない、次々に飛び込んでくる生々しい課題で手帳が埋まってしまう現実もある。
コロナ禍でやりたいこともできない切歯 の思いも。
それでも、1年の終わりに、否いつの日か、できたら真っ赤な手帳になることをめざして!