掲載日:令和元年5月1日更新
組織人として、人として
「この前の話はよかったよ」何人からもいわれ、反響に驚きました。FMゆきぐにで毎週金・土曜日の朝にラジオ放送される番組『こんにちは林茂男です』は、ざっくばらんな話ができるので、ひそかに収録を楽しみにしています。
4月最初の放送で山本安幸放送局長から「令和元年度となる特別な年度の始まり。職員への市長の訓示で何を話しましたか?」の問いかけ。
今春迎えた38人の新採用職員の前で話したのが「後藤田五訓」。さまざまな訓示や朝礼でよく話をしています。
歴代内閣に仕え、あの田中角栄さんが惚れ込み、与野党を問わず畏敬(いけい)された不世出といわれる官房長官。カミソリの異名を持つ後藤田正晴さんが、部下である官僚に対して行った訓示です。
これがとてもすばらしい。
一、省益を忘れ、国益を想(おも)え
二、悪い、本当の事実を報告せよ
三、勇気をもって意見具申せよ
四、自分の仕事でないと言うなかれ
五 、決定が下ったら従い、命令は実行せよ
いわゆる官僚主義、お役所主義にならないための言葉。公も民間もない、組織とは何か? 組織人としてあるべき何たるかが、この五訓の中にあると思います。
もう一つ。卒業式などで時折、巣立ちゆく若者を前に、つい原稿を脇に置いて話し出してしまう私の父の教えがあります。
父は寡黙(かもく)な人で、生き方には実直さや厳しさがありました。叱られた記憶は少ないものの、あることをすると叱責(しっせき)されたことを思い出します。
それは、不機嫌にしているとき。「その、仏頂面はなんだ!」と。「不機嫌は、幼稚にほかならない」と言われました。自己愛の表れ、主張のカタチである不機嫌な顔を恥とする。ゲラゲラと明るくしなくてもよい、心の上機嫌に努める。少しの自戒が生きやすさになると。
令和をことほぎたい。しかし、いかに時代が変わろうと普遍なことがあることも忘れずに。