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南魚沼市
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ホーム市長の部屋市長日記「無罣礙(むーけーげー)」令和5年度「むーけーげー(無罣礙)」 令和5年4月1日

「むーけーげー(無罣礙)」 令和5年4月1日

掲載日:令和5年4月1日更新

スッポン鍋の湯気

グツグツと湯気が立つ鍋。この日の亭主役が自らよそってくれたスッポンに「こんなにうまいものなのか」と座の一同がうなりました。
恥ずかしながら、私は生まれて初めての経験。
地元の特産となることを夢見て商品化された「魚沼スッポン」。起業から2年、五十沢地区で温泉を活用して育てられてきました。餌には地酒の酒粕も。
「初出荷にこぎ着けたら誰よりも先に、松井さんと市長に食べてもらいます」と言ってくれていたのが亭主役の井口陸弥さんで、2月22日、約束通り待望の試食会となったのです。

「松井さん」とは、当市出身で株式会社アルプス技研の創業者最高顧問の松井利夫さん。「起業家が生まれなければ地域は衰退する」という信念のもと、故郷のために多額のご寄付をされ、市はそれを活用して六日町駅構内に「事業創発拠点」を整備し、起業の登竜門「チャレンジ南魚沼」制度を創設しました。
2年前の第1回選考会で選ばれた5人は全員が起業し、新社長が誕生。そのうちの1人が井口さんでした。

3回目となる今年も女性を含む十数人の応募があり、3月末に新たに5人の事業を採択。市は起業着手に応援資金として百万円を助成し、今後、事業が軌道に乗るまでさまざまな伴走支援を続けます。
舌鼓を打ちながら、第1期生の晴れやかな姿を松井さんは本当に喜んでおられた。
「よくなってきたね、市長」とささやかれた。
数年前には想像すらできなかった新しい変化を、私も確信しています。
「魚沼スッポン」は、すぐに鍋などで調理できるように小分け梱包で出荷するそうで、旅館やホテル、飲食店で振る舞われ、魚沼の特産になったら本当にすばらしい。
そして家庭でも。鍋を囲み、若い起業家たちのがんばりを、例えばお父さんやお母さんが、子どもたちに話をしてあげてほしい。
その小さな所作が、次代の子どもたちの故郷への肯定感や誇りを育てていくのではないか。湯気の向こうが明るくなるような。

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