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ホーム市長の部屋市長日記「無罣礙(むーけーげー)」令和5年度「むーけーげー(無罣礙)」 令和5年5月1日

「むーけーげー(無罣礙)」 令和5年5月1日

掲載日:令和5年5月1日更新

最後の砦

新年度。首長として職員への初訓示で何を話そうか。

毎年思いますが結構しんどい。そうだ、と思いついて「国会での雪解け問答」と題するコラムから切り出しました。『雪国大全』(佐藤国雄著)という本を紹介したもので、特に昭和52年の衆院予算委員会で、新潟県選出の木島喜兵衛衆議院議員が後に総理となった海部俊樹文部大臣(当時)との質疑の場面がおもしろい。

(以下原文)『木島「もし雪が解けたらどうなる、という試験問題が出たら大臣はどう答えますか。」文相「私は水になると答えると思う。」木島「一般にはそれが合格。が、わが新潟は豪雪で春を待ちわびています。雪が解けたら春になる、と答えたら、それは誤りになるのです。雪が水になるのは《理》の世界、春になるのは《情》の世界です。同じノーベル賞でも湯川さんは百点で、川端さんは零点。…』話はここから試験偏重の学歴社会批判の問題に進むのですが、それとは別に、私はこの話が市政運営に当てはまると思ったのです、と職員に向かって語りました。

当然ですが、行政は厳格な公平さや公共性がなければならない《理》の世界。しかし、時に解決の難しい対応も数多く、人の営み・生活は理屈だけでは通らないことのなんと多いことか。《情》なくして人の心は動かない。情とは共感する力ともいえる。血の通う行政、市民との信頼感は理と情のバランスによる、と思うのです。新型コロナウイルスとの長い闘いの中で市役所も格闘してきました。市民の不安や、やるせなさの当たり所にされたこともなかった
わけではない。しかし、市民に寄り添う、その一念で踏ん張ってきた職員のみなさんを誇りに思う。確信したことは、市役所は市民の「最後の砦」だということ。私がコロナ禍の3年間、多くの場でみなさんを鼓舞し、言い続けた言葉であるしこれからも、と。訓示というより感謝の弁だったかもしれません。

新入職員は58人。公務員生活の初日。彼らがどんなふうに受け止めてくれただろうか。

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