掲載日:令和7年6月2日更新
令和7年6月南魚沼市議会定例会施政方針(南魚沼市長 林茂男)
総論
令和7年6月議会定例会の開会に当たり、議員各位のご健勝をお喜び申し上げます。また、日頃より市政にご尽力いただいていることに対し、深く敬意を表しますとともに感謝を申し上げます。
ここで、令和7年3月議会定例会以降の経過等につきましてご報告申し上げます。
保健・医療・福祉
第1に、保健・医療・福祉についてであります。
保健関係につきましては、令和7年度の住民健診を4月24日の胃がん検診から開始いたしました。また、4月14日に理容組合南魚支部の組合員を対象に「心の健康サポートを考える会」を開催し、「地域でこころの健康づくり」と題して公認心理師による講演を行いました。
健診施設等建設事業につきましては、令和7年3月末から鉄骨の建て方工事に着手し建物の形状がわかる状態になったことから、5月1日から21日までを募集期間とし、新施設の名称募集を実施したところでありますが、健康増進を図るとともに、緊急時には防災拠点として市民から末長く親しまれる施設として、より多くの市民から関心を持っていただきたいことから、6月末まで期間を延長し募集しております。加えて、健診システムの選定も進めており、予約や問診等をインターネット上で行うことで利用者の利便性を高めるとともに業務の効率化を図ることができるシステムを導入するために、今定例会において病院事業会計予算の補正予算案を提出しております。今後も市民の利便性向上を最優先とする方針に基づいて、人生100年時代における予防医療の重要性をアピールしてまいります。
病院事業につきましては、令和7年3月末で南魚沼市民病院長であった加計先生が退職し、令和7年4月からは外山病院事業管理者が院長を兼任しております。また、新体制として、笠井医師が院長代行に就くとともに、健診、緩和ケア、消化器外科、精神科、腎臓内科に計5人の常勤医師を迎え、更なる医療基盤の強化を図っております。
市民からの要望が強い待ち時間の解消につきましては、令和7年3月末までに会計窓口のレイアウトを一部変更するとともに、診察の呼び出し及びクレジットカードを利用した料金の後払いを可能とするスマートフォンアプリを導入することで利便性を高めております。今後も、市民に愛される病院となるよう改革を進めてまいります。
大和地域包括医療センターの移転につきましては、5月に医療対策実施本部会議及び大和地域包括医療センター運営協議会を開催し、市民のご意見を伺いながら庁内で移転先や医療のまちづくりの展開に関する検討を進めております。
子育て支援関係につきましては、国において策定した「こども未来戦略」「こども大綱」や「新潟県こども計画」を勘案し、今年度から「南魚沼市こども計画」を策定するため、必要な調査の準備を開始いたしました。また、公立保育園において公立保育園において楽しみながら積極的に体を動かし今後の成長に繋げること楽しみながら積極的に体を動かし今後の成長に繋げることを目的に、今年度から専任保育士1名を配置し、5歳児を対象とした運動習慣アップ支援事業を開始いたしました。
教育・文化
次に、教育・文化についてであります。
統合給食センターの建設事業につきましては、工程変更により令和7年度に主要部分の建築工事を予定しております。また、今定例会に変更契約の議案を提出しております。令和8年4月の供用開始に向けて着実に事業を進めてまいります。
大和中学校の改築事業につきましては、基本設計業務が終盤となっており、土地利用(配置計画)などについて検討を進めているところであります。
部活動の地域移行につきましては、3月に「令和7年度南魚沼市中学校部活動及び認定地域クラブ活動計画」をまとめ、公表いたしました。また、4月には中学校のPTA総会に出向き地域移行の説明を行いました。
中学生高校生海外派遣研修事業につきましては、アメリカ合衆国へ派遣する中学生12名及び高校生4名を決定し、2回の事前研修を実施いたしました。
文化振興につきましては、「全国重要無形文化財保持団体協議会 南魚沼・小千谷大会」の11月開催に向けて、5月28日に南魚沼市長を会長とする実行委員会を設立いたしました。当市の越後上布をはじめ、全国各地の重要無形文化財をPRする絶好の機会ととらえ、大会の成功に向けて取り組んでまいります。
自転車を活用したまちづくりにつきましては、引き続き、湯沢町・南魚沼市・魚沼市で連携した自転車活用推進協議会を中心に、「雪国ゴールデンサイクルルート」のナショナルサイクルルートの指定に向けた取組を進めております。今後は、コース上の分岐部などに案内看板の整備を進めてまいります。ルートの周知活動として、3月28日に、台湾の中華大学で開催された「徳島大学サイクルツーリズム講座in新竹・台湾」にオンラインで参加し、協議会の活動実績を発表いたしました。また、4月19日、20日には東京ビックサイトにおいて開催された日本最大のスポーツ自転車フェスティバルである「サイクルモード東京」に、新潟県と連携して出展いたしました。会場には2日間で延べ2万人を超える来場者があり、全国のサイクリストと自転車関係者に向けて、周知を行いました。
環境共生
次に、環境共生についてであります。
令和6年度における南魚沼市環境衛生センターのごみ量につきましては、全体として減少傾向が継続しているものの、家庭消費や観光需要をはじめとするごみ量の増加もあり、減少幅は縮小している状況となっております。
可燃ごみ処理施設につきましては、延命化対策の効果により順調に稼働しておりますが、引き続き信頼性を念頭とした着実な予防保全に努めてまいります。
新ごみ処理施設整備につきましては、国の循環型社会形成推進交付金事業により新施設整備に向けた「事業者選定等業務」を令和7~8年度の継続事業で実施しております。更に、今年度は建設予定敷地内の旧し尿処理施設及び環境衛生センター管理事務所棟の地表面より上屋部分の解体工事を実施しております。また、解体工事で取り壊しになる管理事務所棟の移転工事も順調に進んでいるところです。
環境施策の取組につきましては、4月1日の「ゼロカーボンシティ宣言」と合わせ、市民・事業者による温室効果ガス削減に向けた取組を後押しするため、今年度を「ゼロカーボンシティ強化元年」と位置付け、従来の補助金に加え、新たに4つの補助金を創設いたしました。また、取組を推進する財源を確保するため、国の「地域脱炭素移行・再エネ推進事業計画(重点対策加速化事業)」の本申請を行っているところであります。
雪資源活用事業につきましては、昨年度設置いたしました本庁舎南分館の雪冷房設備を、今年度は冷房切替えの当初から稼働いたします。この冷熱源として活用するための貯雪場の雪を成形し、民間企業と共同製作した屋外雪貯蔵用多層膜シート(4層保温シート)で覆うことで、雪が融ける速度を遅らせ、どの程度の期間まで安定供給できるのか、検証してまいります。また、大阪・関西万博に出展する新潟県への雪の提供のほか、南魚沼市の雪の取組に関心を持っていただいた企業等からも活用に向けた相談の声が届き始めておりますので、これらをきっかけに更なる雪国ブランディングの構築とPRを推進してまいります。
都市基盤
次に、 都市基盤についてであります。
国の直轄道路事業につきましては、国道17号六日町バイパスでは小栗山地区改良工事、浦佐バイパスでは魚野川にかかる新浦佐大橋(仮称)の橋梁下部工事が、順調に進められております。また、国道253号八箇峠道路では、関越自動車道との交差部におけるボックスカルバート工事が、通行車両の安全確保に最大限配慮しながら進められております。そのほか、国道17号では五十嵐入口交差点改良、上一日市地区歩道整備などの交通安全対策事業や、六日町電線共同溝などの無電柱化事業も進められております。
国の砂防事業につきましては、水無川水系、三国川水系、高棚川水系、登川水系において砂防堰堤、床固工などの土砂災害防止対策事業が予定されております。
新潟県事業につきましては、県道欠ノ上五日町線などの道路改築事業、県道余川塩沢停車場線での街路事業、十二沢川などの河川改修事業が予定されております。
南魚沼市の道路事業につきましては、社会資本整備総合交付金及び地方創生道整備推進交付金事業(今年度から「新しい地方経済・生活環境創生交付金」第2世代交付金に移行)により道路改築、交通安全対策及び雪寒事業などを予定しております。また、国庫補助道路事業により、橋梁長寿命化修繕などの道路メンテナンス事業や通学路緊急対策補助事業を予定しております。これらの事業全体の予算要望額に対して、事業費で93パーセントの11億8,678万円、国費では7億3,679万円の予算配分がありました。
公共交通政策につきましては、持続可能な公共交通体系の構築を進めるため、令和7年度から都市計画課に「交通政策主幹」を配置し、小髙特命副市長のもと公共交通ネットワークの再編に向けた検討を進めております。
水道事業につきましては、引き続き、高度浄水施設等整備補助事業により藤原配水池への紫外線処理施設の整備を進めてまいります。また、水道水を安定的に供給するため、配水管の布設替えを計画的に進めてまいります。
下水道事業につきましては、社会資本整備総合交付金が、事業費で1億3,000万円、国費で6,500万円の配分に留まり、要望額に対して47パーセントと、かつてない厳しい配分となりましたが、必要な雨水函渠情報のデジタル化、マンホール蓋の更新や未普及対策などの事業を着実に進めてまいります。
産業振興
次に、産業振興についてであります。
稲作につきましては、魚沼産コシヒカリは「令和6年産米の食味ランキング」において昨年度に引き続き県内で唯一「特A」評価を受けました。令和7年産についても、関係機関・団体と連携し、農業者等へ情報提供を行うことで消費者の期待に応え続けられる米づくりと、南魚沼産コシヒカリのブランド管理の強化を進めてまいります。
新たに実施した農業用機械整備支援事業につきましては、非常に反響が大きく124名の方から申請をいただきました。補正予算と合わせ1億1,000万円の予算額のうち補助金総額1億520万円の交付を決定いたしました。現在、購入実績に基づき順次交付手続きを進めております。
商工業の振興につきましては、市内事業者が雪室や雪冷熱供給設備等を導入する設備投資について、その一部を補助する「雪冷熱利活用施設等導入事業補助金」、市内企業が国内において開催される展示会等に出展する際の費用の一部を補助する「展示会等出展支援事業補助金」及び従業員の奨学金返還支援制度を設けている市内中小企業等に対し、その一部を補助する「はらたく若者奨学金返還支援事業補助金」の3つの制度を新たに制定いたしました。
観光振興につきましては、南魚沼市の観光の方向性を示す観光戦略の9月策定を予定しております。戦略の基本理念を「ゼッピン雪国宣言」に決定し、地域の観光に携わる様々な事業者・団体で構成される観光戦略運営準備会及び有識者による観光戦略策定委員会において検討を進めております。
道の駅再整備事業につきましては、全国の道の駅の中から、国が重点的に支援する「『道の駅』第3ステージ応援パッケージ」に4月25日付で当市の道の駅が選定されました。今後、国土交通省や関係省庁の伴走型支援を受けながら、「防災道の駅」としての機能も備えた再整備に向けて取り組んでまいります。
行財政改革・市民参画
次に、行財政改革・市民参画についてであります。
総合計画につきましては、第2次総合計画後期基本計画の計画期間が今年度をもって終了することから、第3次総合計画の策定に向け、庁内に策定委員会と分野ごとに策定部会を設置し作業を進めております。第3次総合計画では、市の将来像として引き続き「自然・人・産業の和で築く安心のまち」を掲げる一方で、人口減少対策と少子高齢化社会への対応をあらゆる分野で政策的に進めるため、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を一体的に取り込んだ計画とする予定です。そのため、計画の基本構想を見直し、新たな施策体系を構築することを検討しております。現在、総合計画審議会及び、まち・ひと・しごと創生推進会議に計画の素案をお示しし、いただいた意見を整理しながら策定作業を進めているところです。
地域間交流の推進につきましては、地域おこし協力隊事業の新規隊員の募集に対し、5名の応募があり、前年度からの継続希望者5名とともに、4月1日付けで10名全員を隊員に委嘱しました。また、集落支援員として東地区地域づくり協議会に1名を継続配置しました。
ふるさと納税推進事業につきましては、令和6年度分の寄附額が確定し、寄附件数は、約18万3,000件(前年度比106.1パーセント)、寄附額は、約71億1,900万円(前年度比124.3パーセント)となりました。いわゆる令和の米騒動により、返礼品分のお米の在庫が底をつきかねない状況になったことから、寄附額への影響を心配しましたが、全国の皆様から前年度を上回る応援をいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
なお、令和7年度分につきましては、5月11日時点で、寄附件数で1万4,990件、寄附額で9億1,304万4,000円となっております。
今冬の「令和6年度豪雪」につきましては、災害救助法の適用を受けた救助は、要援護者世帯等に対する除雪が176世帯(約1,612万円)、災害救助法の対象となる空家の除雪が3棟(約32万円)でありました。
また、災害救助法の適用外となりますが、行政区に対し市単独事業として実施した除雪機械の借用補助では、10行政区に約223万円の補助金を交付しました。豪雪災害の対応に当たり、行政区の皆さんが協力され、共助の仕組みを発揮していただいたことに感謝申し上げます。
特定空家等の対策につきましては、略式代執行により進めていた栄町地内の除却工事が、建物外壁にアスベストの含有が確認されたことや、降雪があったことにより、繰越事業としておりましたが、降雪が落ち着いた3月上旬から解体作業を進め、4月22日に除却が完了しております。
一般会計補正予算
一般会計及び特別会計につきましては、5月31日をもって出納閉鎖となりましたので、現在、決算整理作業を始めているところであります。繰越金の発生が見込まれますが、残額につきましては、額の確定を待って9月定例会の補正予算に計上いたします。
今定例会に一般会計補正予算(第2号)を提出いたしました。
主な内容といたしましては、歳出では、物価高騰対策として、令和6年度から令和7年度に本省繰越を行った物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して、地元商店街と連携した生活支援事業を行うほか、障がい者施設・高齢者施設への補助、農業者団体への支援などを行います。そのほか、総務費において、ふるさと納税の寄附額が順調に推移していることから、返礼品定期便に係る分を含めて、ふるさと納税返礼品等業務委託料を増額いたしました。民生費では、前年度実施した、所得税及び市民税・県民税で実施される定額減税において、本来給付すべき所要額と当初調整給付額との間で差額が生じた方などに対して、不足額の給付を行います。衛生費では、水道事業で実施する藤原配水池の高度浄水施設整備において、令和8年度事業分の一部が前倒しになったことにより、一般会計において負担すべき分について、必要額を計上しました。農業費では、林道小松沢線の舗装工事に係る経費を計上いたしました。教育費では、中之島地域で新たに放課後子ども教室を設置するための経費を計上しました。
歳入では、定額減税の不足額給付に係る国庫補助金、社会資本整備総合交付金の内示に基づく道路橋りょう費国庫補助金、市債に該当事業に対する充当可能額を計上したほか、繰入金では、財政調整基金からは、ふるさと納税推進事業の返礼品定期便分として先に積み立てた分から3億1,000万円を繰入れいたしました。これらの結果といたしまして、歳入総額が歳出総額を上回る見込みとなりましたので、不足する財源の補填として計上しておりました財政調整基金繰入金を1億9,400万円減額しました。
以上により、歳入歳出総額にそれぞれ27億9,983万2千円を追加し、総額を454億4,983万2千円としたいものであります。
結び
結びといたしまして、昨年12月末から空席となっておりました副市長職につきまして、議会からご同意をいただき、4月1日から2名体制といたしました。南雲総括副市長には豊富な行政経験をもとに市政全般の課題に取り組んでもらいます。また、小髙特命副市長には、公共交通政策、観光施策やまちづくりの分野に組織横断的に取り組んでいただきます。特に交通政策は市政全般にわたる課題となっていますので、これまでの民間経験や視点を活かし、交通ネットワークを刷新していただくことを期待しているところであります。この新たな体制で山積する課題に立ち向かうべく、引き続き各種事業を進めてまいる所存であります。議員各位からも引き続き格段のご支援を賜りますよう心からからお願い申し上げまして、所信表明といたします。