掲載日:令和7年9月25日更新
令和6年5月17日に、民法などの一部を改正する法律が成立しました。
この法律は、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与などに関する規定を見直すものです。いわゆる共同親権(離婚後も父母が共同して親権を行使する制度)についてもこの法律で定められ、令和8年4月1日に施行されます。
おもな改正内容は以下のとおりです。
親の責務に関するルールの明確化
父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。
こどもの人格の尊重
父母は、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
父母は、こどもを扶養する責務を負います。こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。
父母間の人格尊重・協力義務
父母は、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。次のような行為は、この義務に違反する場合があります。違反した場合、親権者の指定または変更の審判、親権喪失または親権停止の審判などにおいて、その内容が考慮される可能性があります。
- 父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言などの相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴など
- 別居親が、同居親による日常的な監護に、不当に干渉すること
- 父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
- 親子交流の取決めがされたにもかかわらず、特段の理由なく、その実施を拒むこと
こどもの利益のための親権
親権とは、こどもの面倒をみたり、こどもの財産を管理したりすること。
親権に関するルールの見直し
- 親権者の選択
1人だけが親権を持つ【単独親権】のほかに、離婚後に父母2人ともが親権を持つ【共同親権】の選択ができるようになります。 - 親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)
- 特定の事項について(転居、進路に影響する進学先、心身に重大な影響を与える医療行為、これらの決定)は、父母が話し合って決めますが、対立する場合は、家庭裁判所の手続で親権行使者を定めることができます。
1について、親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。
2について、次のような場合は、親権の単独行使ができます。
- 監護教育に関する日常の行為をするとき(事や服装の決定、短期間の観光目的での旅行、習い事、高校生の放課後のアルバイトの許可など)
- こどもの利益のため急迫の事情があるとき
養育費の支払確保に向けた見直し
- 養育費の取決めに基づく民事執行手続が容易になり、取決めの実効性が向上します。
法定養育費とは、婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、一定額の「法定養育費」を請求することができるようになります。 - 法定養育費の請求権が新設されます。
- 養育費に関する裁判手続の利便性が向上します。
安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
子どもの健やかな成長のために、
- 家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に行うこと(試行的実施)に関する制度が設けられています。
- 婚姻中の父母が別居している場面の親子交流のルールが明確化されています。
- 父母以外の親族(祖父母など)とこどもとの交流に関するルールが設けられています。
