○南魚沼市火災調査規程
平成18年3月27日
訓令第21号
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要のある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同等の効果のあるものの利用を必要とするもの又は爆発現象をいう。
(2) 1件の火災 1つの出火点から拡大したもので、出火から鎮火までをいう。
(3) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集するための質問、現場見分及び鑑識、鑑定、実験等の一連の行動をいう。
(4) 鑑識 火災原因の判定を補助するため、専門的な知識、技術及び経験則を適用し、主として視認により総合的見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。
(5) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれに関連する現象について科学的手法により、必要な試験を行い、その結果を基に火災原因の判定のための資料を得ることをいう。
(6) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。
(7) 関係者等 法第2条第4項による関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査の参考人をいう。
(8) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいう。
(9) 建物の収容物 壁、柱等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されているものをいう。ただし、バルコニー、ベランダ等に置かれたものは、収容物に含める。
(10) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として制作された用具であって、自動車、汽車、電車及び原動機付自転車、車両によってけん引される目的で造られた車及び車両にけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。ただし、遊具又は玩具用に用いられるものを除く。
(11) 船舶 独立機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独立機能を有しない住居船、倉庫船、はしけをいう。ただし、遊技用ボート等を除く。
(12) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に定めるものをいう。
(13) 林野 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に定めるもの、原野及び牧野(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(14) 建物の用途 建物が占有されている目的をいう。
(15) 業態 原則として、事業所において業として行われている事業の態様をいい、教育、宗教、公務、非営利団体等の諸活動を含む。ただし、家庭内における主婦の家事労働は含まない。
(16) 発火源 出火に直接関係し、又それ自体から出火したものをいう。
(17) 経過 出火に関係した現象、状態又は行動をいう。
(18) 着火物 発火源によって最初に着火したものをいう。
(19) 出火箇所 火災の発生した場所をいう。
(20) 爆発現象(以下「爆発」という。) 科学的変化による爆発の1つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱を発生し、爆鳴、火煙及び破裂作用を伴う現象をいう。
(調査の体制)
第3条 消防長は、常に人員及び機材を整備し、調査能力の向上に努め調査体制の確立を図らなければならない。
(調査員)
第4条 消防長は、調査に従事する者を指名し、調査業務の適正化を図らなければならない。
2 調査員は、常に調査上必要な知識及び調査技術の修得並びに調査能力の向上に努めなければならない。
(調査の区分及び範囲)
第5条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査とする。
(1) 出火原因 火災発生経過及び出火箇所
(2) 発見、通報及び初期消火状況 発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動
(3) 延焼状況 建物の部分焼以上の火災の延焼経路及び延焼拡大要因等
(4) 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等
(5) 消防用設備の活用状況 消火設備、警報設備、避難設備及び消火活動上必要な施設の使用又は作動等の状況
(6) 防火管理の状況
(1) 焼き損害 焼け又は熱による破損等の損害
(2) 消火損害 消火のため受けた水損、破損、汚損等の損害
(3) その他の損害 煙害、搬出等に伴う損害及び火災中に発生した爆発等による損害
(4) 死傷者 火災及び消火活動、避難行動その他の行動等により現場等において死亡し、又は負傷した者
(秘密の保持)
第6条 調査員は、関係者の名誉を重んじ、調査によって知り得た事項を、みだりに他に漏らしてはならない。
(調査結果の活用)
第7条 調査員は、調査結果を分析し、及び検討して、火災の実態を明らかにするとともに、消防行政に活用できる資料の整備に努めなければならない。
(調査の原則)
第8条 調査に当たっては、常に真実の発見を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法と合理的な判断によって事実の立証に努めなければならない。
(関係者等への対応)
第9条 調査に当たっては、関係者等に対して公平、公正を基本とし、穏健妥当な方法により協力を得るように努めなければならない。
(民事不介入の原則)
第10条 調査員は、民事的紛争に関与してはならない。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損したもの
(2) 車両火災 自動車、鉄道車両又はそれらの積載物が焼損したもの
(3) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損したもの
(4) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損したもの
(5) 林野火災 林野の樹木、雑草、飼料等が焼損したもの
(6) その他火災 前各号以外の物が焼損したもの
2 前項各号の火災が複合する場合の火災の種別は、焼き損害額の大なるものによる。ただし、その態様により焼き損害の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。
3 前項の焼き損害額が同額又は算出されない場合は、火元の火災の種別による。
(出火日時分の決定)
第12条 出火日時分の決定は、関係者の火災発見状況、通報(覚知)時分並びに消防対象物の構造、材質、状態及び火気取扱等の状況を総合的に検討し、合理的な時分とする。ただし、自然鎮火した事後聞知火災でその決定が困難な場合は、出火時分を不明とすることができる。
(鑑識員の派遣要請)
第13条 消防長は、調査上特に専門的な技術又は知識を必要とする場合は、関係機関に鑑識員の派遣を要請することができる。
(鑑定等の依頼)
第14条 消防長は、収集した資料又は特定事象について、火災の原因等の判定上試験又は鑑定の必要があるときは、鑑定(試験)依頼書(様式第1号)により関係機関又は学識経験者に依頼することができる。
(調査の記録)
第15条 調査員は、調査の結果その他参考事項を記録しておかなければならない。
(照会)
第16条 消防長は、官公署に対し調査に関する事項を照会する場合は、火災調査関係事項照会書(様式第2号)により行うものとする。
(証票の提示)
第17条 調査のため関係ある場所に立ち入る場合は、南魚沼市火災予防立入検査規則(平成18年南魚沼市規則第12号)第2条に定める証票を関係者に示さなければならない。
(実況見分の統制)
第18条 課長は、調査に当たっては、統制ある指揮の下に組織的に行わせなければならない。
(火災出場時の見分)
第19条 火災に出場した小隊長等は、消防活動を通じて火災の状況の見分に努めるとともに、火災出場時における見分調書(様式第3号)を作成するものとする。
(現場保存)
第20条 署長は、消火活動をするに当たって物を移動し、又は破壊する場合は、努めて原状がわかるように処置するとともに、調査のため必要な措置を講じて現場保存に努めなければならない。
(実況見分)
第21条 調査員は、関係者の立会いを得て、現場その他関係ある場所及び物件について詳細に見分しなければならない。
(写真及び図面)
第22条 調査員は、調査内容を明らかにするため、必要な写真及び図面を作成し、写真は、写真ちょう付紙(様式第4号)にちょう付しておかなければならない。
(質問)
第23条 質問を行うに当たっては、場所時期などを考慮して被質問者の任意の供述を得るようにしなければならない。
2 質問を行うに当たっては、自己が期待し、又は希望する供述内容を相手方に暗示するなどの方法により誘導してはならない。
3 伝聞による供述で調査上必要なものは、その事実を直接経験した者の供述を得られるようにしなければならない。
(少年等に関する特則)
第24条 少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)の関係する火災の調査を行うに当たっては、少年の将来を考慮し、温情と理解をもって当たらなければならない。
2 少年は、現場見分の立会人としてはならない。
3 少年は、実況見分の立会人としてはならない。
4 少年に対する質問は、親権者等の立会人を置いて行わなければならない。
5 前項の規定にかかわらず、年齢、心情及びその他諸般の事情により支障がないと認める場合並びに立会人を置くことにより真実の供述が得られないと判断される場合は、一般の例によることができる。
6 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者と認められる者又はろうあ者の関係する火災の調査については、前各項の規定を準用する。
(伝聞の排除)
第25条 被質問者の伝聞による供述で調査上必要と認めるものについては、その事実を直接経験した者に質問して供述を得るようにしなければならない。
(資料の提出)
第26条 消防長は、消防対象物の関係者に資料の提出を求める場合は原則として任意によるものとし、これにより難い場合は資料提出命令書(様式第5号)により提出を命ずるものとする。
3 前条の規定により提出された資料を、調査等の終了により返還する場合は、資料保管書と引換えに行うものとする。
(火災原因)
第28条 出火原因、延焼経過及び消防用設備の活用状況並びに避難の状況は、出火出場時の見分、実況見分、関係者の供述、鑑定、資料等を総合検討し、科学的に考察を加えて明らかにしなければならない。
(出火原因の分類)
第29条 出火原因の分類は、次に掲げるとおりとする。
(1) 発火源 火災報告取扱要領(平成6年4月21日付け消防災第100号消防庁長官通知。以下「報告要領」という。)別表第3出火原因分類表(以下「分類表」という。)1表による。
(2) 経過 報告要領分類表2表による。
(3) 着火物 報告要領分類表3表による。
(4) 出火箇所 報告要領別表第7出火箇所分類表による。
(り災物件の調査)
第30条 調査員は、現場において関係者等から説明を得て火災により破損され、又は破壊された財産の状況を調査しなければならない。
(り災申告書等)
第31条 消防長は、調査上必要と認める場合は、り災した消防対象物の関係者に、次に掲げるり災申告書の提出を求めるものとする。
(1) 不動産り災申告書(様式第8号)
(2) 動産り災申告書(様式第9号)
(3) 車両・船舶・航空機り災申告書(様式第10号)
(1) 全焼 建物の70パーセント以上を焼損したもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないもの
(2) 半焼 建物の20パーセント以上の焼損で全焼に該当しないもの
(3) 部分焼 全焼、半焼及びぼやに該当しないもの
(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり、焼損面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみを焼損したもの
2 車両、船舶及び航空機の焼損程度は、前項各号に準ずるものとする。
(火災の程度)
第33条 火災の程度は、1件の火災のうち決定した火災の種別の焼損程度の大なるものにより全焼火災、半焼火災、部分焼火災及びぼや火災に区分する。
(1) 木造建物 柱及び梁が主として木で造られたもの(防火構造建物を除く。)
(2) 防火構造建物 屋根、外壁及び軒裏が建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「建基法」という。)第2条第8号に定める構造のもの
(3) 準耐火建築物(木造) 建基法第2条第9号の3に定めるもののうち、柱及び梁が主として木造のものをいう。ただし、同号ロに定めるもののうち柱及び梁の一部が木造のものを除く。
(4) 準耐火建築物(非木造) 建基法第2条第9号の3に定めるもののうち、前号以外のものをいう。
(5) 耐火建築物 建基法第2条第9号の2に定めるもの
(6) その他の建物 前各号に該当しない構造のもの
(階の算定)
第35条 建物の階数の算定は、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第8号に定めるところによる。
(焼損面積の算定)
第36条 建物の焼損面積は、焼損床面積及び焼損表面積に区分して算定するものとする。
2 水損、破損及び汚損の場合は、前項の規定に準ずるものとする。
(世帯の算定)
第37条 世帯は、住居及び家計を共にする者又は一人で居住し家計を維持する者ごとに、1世帯として算定するものとする。
(1) 全損 建物(その内容物を含む。以下この条において同じ。)の火災損害額(以下「損害額」という。)が、り災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの
(2) 半損 建物の損害額が、り災前の建物の評価額の20パーセント以上70パーセント未満のもの
(3) 小損 前2号に該当しないもの
(損害額の算定)
第39条 損害額は、次に掲げる区分により算定するものとする。
(1) 建物は、規模、構造、仕上げ要素その他の状況に応じ、り災時における再建築単価を算出し、建物の耐用年数、経過年数及び損耗の程度を考慮し、報告要領に定める減価償却の方法を準用する。
(2) 車両、船舶、航空機、構築物、機械装置、器具及び備品等は、取得価格を基準とし、報告要領に定める耐用年数及び経過年数に応じた減価償却の方法による。
(3) 家具、什器類、衣類、寝具、工具等は、取得価格、使用年数及び使用状況を考慮して償却した価格による。
(4) 書画、骨董品、美術工芸品、貴金属及び宝石類は、社会通念上評価されている価格による。
(5) 商品は、り災時における販売価格による。
(6) 製品及び半製品は、原料又は材料の価格に工賃を加算した原価による。
(7) 原料及び材料は、購入したものは仕入価格、自家製造のものは原価による。
(8) 前各号以外の物件は、り災時の価格による。
(死傷者)
第40条 死傷者は、次に掲げるとおりとし、病気に起因するものを除くものとする。ただし、負傷者が負傷後48時間以内に死亡した場合は、火災による48時間死者として、30日以内に死亡した場合は30日死者として取扱う。
(1) 消防職員、消防団員その他消防活動に関係ある者(消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第48条第1項第3号及び第4号に定める者)については、覚知から現場引上げの時までに死亡し、又は負傷した者
(2) 前号に掲げる者のほか、現場内において死亡し、又は負傷した者
(負傷の程度)
第41条 負傷の程度は、重症、中等症及び軽症の3種に区分し、その基準は、救急事故等報告要領(昭和39年5月4日付け自消甲教発第18号消防庁長官通知)第2の4に定めるところによる。
(用途別分類)
第42条 用途別分類は、報告要領に定める用途別分類を準用する。
(業態別分類)
第43条 業態別分類は、報告要領に定める業態別分類を準用する。
(書類の作成)
第44条 建物火災の半焼火災以上及び爆発については、次に掲げる書類を作成するものとする。
(1) 火災調査書(様式第12号)
(2) 建物火災調査書(様式第13号)
(3) 火災原因判定書(様式第14号)
(4) 火災出場時の見分調書
(5) 実況見分調書(様式第15号)
(6) 関係図面等
(7) 写真
(8) 質問調書(様式第16号)
(9) 建物火災損害調査書(様式第17号の1~様式第17号の3)
(10) り災申告書(第31条に定めるもの)
(11) 死傷者調査書(様式第18号)
(12) その他必要とする資料等
2 建物火災のぼや火災及び部分焼火災については、次に掲げる書類を作成するものとする。
(1) 火災調査書
(2) 建物火災調査書(様式第13号)
(3) 部分焼(ぼや)火災原因判定書(様式第14号の2)
(4) 写真
(5) 質問調書
(6) その他必要とする資料等
3 建物火災以外の火災については、次に掲げる書類を作成するものとする。
(1) 火災調査書
(2) 建物以外火災調査書(様式第19号)
(3) 火災原因判定書
(4) 火災出場時の見分調書
(5) 実況見分調書
(6) 関係図面等
(7) 写真
(8) 質問調書
(9) り災申告書
(10) 死傷者調査書
(11) その他必要とする資料等
4 前各項の書類で、当該火災に該当のないものは、省略することができる。
(平19訓令53・一部改正)
(書類の保存)
第45条 前条の規定により作成した当該火災の関係文書を1件の火災ごとに一括し、原本として保存しなければならない。
(抄本の送付)
第46条 消防長は、官公署等から第44条の規定により作成した書類について照会があった場合は、その抄本を送付することができる。
(爆発事故の調査)
第47条 爆発事故(燃焼爆発で焼損を伴わず、かつ、消火行為のないものをいう。)は、火災に準じて調査し、処理を行うものとする。
(参考人又は証人としての出頭)
第48条 調査員は、自己の担当した火災調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人として呼び出され、若しくは召喚を受けた場合は、消防長にその事案の概要を即報しなければならない。出頭した結果についても、同様とする。
(その他)
第49条 この訓令の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成18年4月1日から施行する。
(南魚沼地域広域連合の解散に伴う経過措置)
2 この訓令の施行の日の前日までに、解散前の南魚沼地域広域連合火災調査規程(平成13年南魚沼地域広域連合規程第22号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この訓令の相当規定によりなされた処分、手続その他の行為とみなす。
附則(平成19年9月28日訓令第53号)
この訓令は、平成19年10月1日から施行する。
附則(平成28年3月31日訓令第20号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附則(令和2年3月31日訓令第4号)
(施行期日)
1 この訓令は、令和2年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の日以後、この訓令による改正前のそれぞれの訓令に規定する様式によりなされた手続は、この訓令による改正後のそれぞれの訓令に規定する様式によりなされたものとみなす。この場合において、当該様式中の性別欄の記入は、要しないものとする。
附則(令和3年12月27日訓令第16号)
この訓令は、公布の日から施行する。
(平28訓令20・一部改正)
(令3訓令16・一部改正)
(令2訓令4・全改、令3訓令16・一部改正)
(令3訓令16・一部改正)
(平19訓令53・一部改正)
(令2訓令4・一部改正)