○防火管理及び消防用設備等の設置に関する指導基準

平成31年3月29日

消防本部告示第3号

第1 趣旨

この告示は、より安全な住環境を確保するため、南魚沼市消防本部開発行為等に関する消防指導要綱(平成31年南魚沼市消防本部告示第2号。以下「要綱」という。)第9条の規定に基づき、中高層建築物における防火管理及び消防用設備等の設置に関する指導基準について必要な事項を定めるものとする。

第2 防火管理

1 自衛消防隊の設置

(1) 次に掲げる防火対象物の管理について権原を有する者は、消防法(昭和23年法律第186号)第8条第1項の規定により防火管理者を定め、防火管理に必要な業務を行わせるとともに、自衛消防活動に必要な人員及び装備を有する自衛消防隊を組織し、その訓練を行わせるものとする。

ア 地階を除く階数が11以上の防火対象物で、延べ面積が20,000平方メートル以上のもの

イ 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)別表第1(5)項イに掲げる防火対象物で、延べ面積が10,000平方メートル以上のもの

(2) 消防活動に必要な人員は、次の表により算出して得た数に6を加えた数以上とする。

区分

算出基準

前号アに掲げる防火対象物

延べ面積を10,000平方メートルで除した数(端数は切り上げる。)

前号イに掲げる防火対象物

延べ面積を3,000平方メートルで除した数(端数は切り上げる。)

(3) 自衛消防隊が備える装備は、次によること。なお、これ以外に災害態様を考慮し、各任務に必要な資器材の整備充実に努めること。

ア 個人用に備えるもの

(ア) 防火衣又は作業服及び消防用ヘルメット

(イ) 警笛

(ウ) 携帯用照明器具

イ 消防隊が備えるもの

(ア) 消火器その他の消火資器材

(イ) ロープ

(ウ) とび口その他の破壊器具

(エ) 携帯用拡声器

(4) 自衛消防隊の隊長及び隊員は、消防技術について消防長が行う講習を受講し、その修了証を得ておくものとする。

(5) 消防長が行う講習の内容は、次によることとする。

講習区分

科目及び時間

自衛消防隊長講習

ア 自衛消防業務全般

2時間

イ 災害活動指揮要領

2時間

ウ 自衛消防訓練指導要領

2時間

エ 安全管理要領

1時間

自衛消防隊員講習

ア 自衛消防業務全般

1時間

イ 消火設備取扱要領

2時間

ウ 避難設備取扱要領

2時間

エ 救護要領

1時間

オ 自衛消防活動要領

1時間

第3 消防用設備等の設置及び維持管理

1 基準の適用

(1) 11階以上の階に係る令第10条第1項第5号の無窓階の適用に当たっては、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号。以下「規則」という。)第5条の3に規定する階に、要綱第4条に規定するはしご架てい箇所が設けられていないものを含むこと。

(2) 非定住型の共同住宅で、その利用の形態が宿泊を主とするもの(以下「非定住型共同住宅」という。)については「共同住宅等に係る消防用設備等の技術上の基準の特例について」(平成7年10月5日消防予第220号各都道府県消防主管部長あて消防庁予防課長通知)は、適用しない。

(3) 地階を除く階数が11以上の防火対象物に設置する消防用設備等は、消防用設備等に耐震措置を施すこと。

(4) 地階を除く階数が11以上の防火対象物に設置する消防用設備等の非常電源は、自家発電設備又は蓄電池設備とすること。

2 消火器

令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物で、非定住型共同住宅の各住戸には、消火器を設置すること。なお、消火器の種別及び単位数については、消防長の指示によるものとする。

3 屋内消火栓設備

(1) 令第11条第3項第1号の消火栓(以下「1号消火栓」という。)を設置する防火対象物は、次による。

ア 令別表第1(12)項イ及び(14)項に掲げる防火対象物

(2) 令第11条第3項第2号の消火栓(以下「2号消火栓」という。)を設置する防火対象物は、次による。

ア 令別表第1(5)項イ及びロ、(6)項イ、ロ及びハ並びに(9)項イに掲げる防火対象物

(3) 加圧送水装置は、次の基準によること。

ア 放水量は、地階を除く階数が5以上の防火対象物にあっては、1号消火栓の場合、毎分300リットル以上(各階に設置する屋内消火栓が1個の場合に限る。以下同じ。)、2号消火栓の場合、毎分140リットル以上とすること。

イ 階数その他により、ポンプの締切揚程が170メートル以上となる場合には、中継ポンプ等を設け直列運転とすること。(別図第1参照)

ウ 中継ポンプを設置する場合、一次ポンプの全揚程は中継ポンプの位置において、中継ポンプの定格吐出量時に10メートル以上の圧力水頭を保有すること。

(4) 地階を除く階数が11以上の防火対象物の配管は、湿式とし、主管は、連結送水管と兼用しないものとする。

(5) 屋内消火栓設備には、寒冷地域及び異常低温気象下において、水源、ポンプ、配管、弁類等が凍結しないための措置を講ずること。

4 スプリンクラー設備

令第12条第1項第2号及び第9号に規定する11階以上の階の部分については、同号の括弧書の規定にかかわらずスプリンクラー設備を設置することとする。

5 自動火災報知設備

次に掲げる防火対象物及びその部分に設置する受信機は、当該住戸部分別に警戒区域が表示できるものであること。

(1) 地階を除く階数が11以上のもの

(2) 非定住型共同住宅でメゾネット形式を有するものに係るその部分

6 誘導灯及び誘導標識

令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物で、非定住型共同住宅には、避難口誘導灯及び通路誘導灯を設置すること。

7 消防用水

(1) 令第27条第1項第2号に規定する建築物に設置する消防用水は、防火水槽とすること。

(2) 地盤面から4.5メートルを超える深層部に設ける消防用水には、その直近に加圧送水装置及び採水口を設けて、消防ポンプが容易に採水できるようにすること。

(3) 加圧送水装置の能力及び採水口の個数については、次の表によること。

所要水量

20

40~100

120以上

加圧送水装置の揚水量

1,100リットル/分

2,200リットル/分

3,300リットル/分

採水口の数

1個

2個

3個

(4) 加圧送水装置の揚程は、加圧送水装置から採水口までの実高及び配管等の摩擦損失水頭に15メートルを加えた数値以上とすること。

(5) 採水口の位置には、遠隔起動装置、ポンプ室等への連絡装置及び遠隔起動装置により加圧送水装置の始動を明示する赤色の表示灯を設けること。

(6) 採水口の配管の口径は、100A(呼び径をいう。以下同じ。)以上とすること。

(7) 採水口の取り入れ口には吸水栓(75A吸口金具)を、地盤面からの高さが0.5メートル以上、1メートル以下の箇所に設けること。

8 連結送水管

(1) 配管は、次の基準によること。

ア 規則第31条第5号ロに定める設計送水圧力は、資料の1により求めること。

イ 立ち上がり管を2以上設置する場合は、各送水口から送られた水が合流する加圧送水装置の吸水側配管及び吐出側配管の口径を、150A以上とすること。(別図第2参照)

(2) 地階を除く階数が11以上の防火対象物に設ける放水用器具格納箱は、一の直通階段について各階ごとに設置し、筒先(噴霧切替ノズル)1本と、長さ20メートルのホースを2本以上接続して格納しておくこと。

(3) 放水口の上部には、赤色の灯火を設けること。ただし、格納箱が非常コンセントを内蔵する型式のものにあっては、水の飛沫を受けない構造とし、非常コンセントの赤色の灯火をもって代えることができるものであること。

(4) 加圧送水装置

ア 加圧送水装置をポンプ方式とする場合には、規則第31条第6号イによるほか、資料の2によること。

イ 加圧送水装置の起動は、流水作動弁又は圧力スイッチによる自動起動方式及び中央防災管理室等(以下「防災センター等」という。)からの遠隔起動ができること。

ウ ポンプ運転時の放水時に、1.2メガパスカルを超える放水口には放水時に1.2メガパスカルを超えない措置を講ずること。

9 非常コンセント

(1) 単相交流100ボルトで15アンペア以上の電気を供給できるコンセントを2個とすること。

(2) コンセントの自動遮断器は、15アンペア以上のものをそれぞれ設けること。

第4 防災設備等

1 防災センター等の設置

(1) 次に掲げる防火対象物には、防災センター等を設け、各種設備や機器並びに消防用設備等の作動表示装置及び制御装置等の監視、操作等ができるよう集中管理するものとする。

ア 地階を除く階数11以上の防火対象物で、延べ面積10,000平方メートル以上のもの

イ 地階を除く階数5以上の防火対象物で、延べ面積20,000平方メートル以上のもの

ウ その他延べ面積が50,000平方メートル以上の防火対象物

(2) 防災センター等の設置位置は、避難階とし、次の条件を備えていること。ただし、避難階に設置することが困難な場合には、避難階の直上階又は直下階に設置することができる。

ア 避難階に設置する場合

(ア) 屋外に直接出られる室であること。

(イ) 出入口から二方向避難ができ、一方は、歩行距離が10メートル以内で屋外に出られる室であること。

イ 直上階に設置する場合

(ア) 避難上有効なバルコニーが設けられた室であること。

(イ) 出入口から二方向避難できる室で一辺が外気に面していること。

(ウ) 避難階段(屋外に設けるもの及び屋内に設けるもので消防庁長官が定める部分を有するものに限る。)又は特別避難階段に容易に通ずることができる室で一辺が外気に面していること。

ウ 直下階に設置する場合

(ア) 室内から直接屋外又は避難階に通ずる固定はしご又は避難用タラップが設けられている室であること。

(イ) 固定はしごが設けられたドライエリアに面していること。

(3) 防災センター等の構造は、次に適合すること。

ア 他の部分と耐火構造の床(直上階の床を含む。)及び壁並びに防火戸(随時開くことができる自動閉鎖装置付き又は煙感知器連動閉鎖装置付きのもの)で区画されていること。

イ 壁及び天井は、下地を含め準不燃材料以上の仕上げであること。

ウ アの壁等を風道、給排水管等が貫通する場合は、防火防炎上有効な措置が講じられていること。

エ 受付業務用の開口部を設ける場合は、網入りガラスとすること。

オ 中央防災管理室内に仮眠又は休憩する部分がある場合は、当該部分と防火区画されていること。

カ 自衛消防隊及び消防隊到着後の指揮本部として、防災活動の中枢的役割が果たされる広さが確保されていること(おおむね50平方メートル以上とする。)

(4) 防災センター等において集中管理される設備等は、次によること。

ア 機械換気設備

イ 中央管理方式の空気調和設備

ウ 排煙設備の起動状況確認装置

エ 非常用の昇降機(以下「非常用エレベーター」という。)の非常時管制(かご戻し・電話装置)装置

オ 消火設備の自動警報装置

カ 自動火災報知設備及びガス漏れ警報設備の受信機

キ 非常放送設備の増幅器及び操作部

ク 消防機関に通報する火災報知設備

ケ 防災用電話及び監視用テレビ

コ その他の防災設備の監視・制御装置

(5) 防災センター等には、常時監視人を置くこと。

2 非常用エレベーター

(1) 地階を除く階数が7以上の防火対象物で、消防車両が容易に接近できない(冬季積雪時の場合を含む。)場所に在るものは、非常用エレベーターを設置すること。

(2) 非常用エレベーターは、次により配置されるものであること。

ア 防災センター等から容易に到達できる位置とすること。

イ 非常用エレベーターを2基以上設ける場合は、一方に偏在することなく、防火対象物の各部分から平均化された位置とすること。

(3) 非常用エレベーターの構造は、次によること。

ア 共同住宅、病院、旅館、ホテル及び福祉施設等に設ける非常用エレベーターについては、その一つ以上を救急用担架が収容可能なものとすること。ただし、一般用エレベーターのうち、一つ以上を当該担架収容可能なものとした場合については、この限りでない。

イ 非常用エレベーターの予備電源は、昭和45年建設省告示第1833号「非常用エレベーターの乗降ロビーに設ける外気に向かって開くことのできる窓及び排煙設備の構造方法を定める件」の排煙設備に準じて設け、かつ、当該エレベーターを連続して長時間運転できるものであること。

(4) 非常用エレベーターの乗降ロビーは、次によること。

ア 出入り口は、消防車両等が接近できる通路等に面して設けること。

イ 一般用エレベーターの乗降ロビー及び避難経路となる廊下とは兼用しないものであること。

ウ 内部に、屋内消火栓及び連結送水管の放水口が設けられている場合は、屋内から乗降ロビーに通じる出入口の防火戸の下方に、消防用ホース通過孔を設けること。

第5 告示の特例

消防用設備等について消防長が、防火対象物の位置、構造及び設備の状況から判断して、この告示による消防用設備等の技術上の基準によらなくとも、火災の発生及び延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限度に止めることができ、安全性が確保され容易に避難することができると認めるとき、又は予想しない特殊の消防用設備等その他の設備を用いることにより、この告示による消防用設備等の技術上の基準による場合と同等以上の効力があると認めるときは、この告示によらないことができる。

この告示は、平成31年10月1日から施行する。

別図第1(第3関係)

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別図第2(第3関係)

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資料(第3関係)

1 消防長が指定した放水圧力

規則第31条第5号ロの規定により、消防長が指定する放水圧力(令第29条第1項第4号に規定する防火対象物及びスプリンクラー設備をすべての階に設置する防火対象物に係るものを除く。)は、10重量キログラム毎平方センチメートル(以下「kgf/cm2」と表示)とする。

防火対象物の例示

原則 10kgf/cm2(スプリンクラー設備の設けられていない物は、フォグガンを使える圧力とした。)

括弧内の例外規定が適用できるもの

上層階のみスプリンクラー設備を設置

一部規則第13条第3項第11号又は第12号区画により未設置

下層階のみスプリンクラー設備を設置

全階スプリンクラー設備を未設置

スプリンクラー設備をすべての階に設置する防火対象物

令第29条第1項第4号


区画によりヘッドを緩和するものは、括弧の例外規定は、適用しない。



1 スプリンクラー設備は、令第12条第2項及び第3項の技術上の基準に従い、又は技術上の基準の例により設置すること。

2 スプリンクラー設備は、放水口の設置義務のある階に設置すること。

アーケード

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指定放水圧力

10kgf/cm2

10kgf/cm2

10kgf/cm2

10kgf/cm2

6kgf/cm2

設計送水圧

設計送水圧は、次の2通りについて求めたうち大きい数値とする。

設計送水圧=放水圧力(10kgf/cm2)+背圧+摩擦損失(放水量800リットル/分として算定)…………フォグガン対応

設計送水圧=放水圧力(6kgf/cm2)+背圧+摩擦損失(放水量2400リットル/分として算定)…………21ノズル対応

放水圧力が10kgf/cm2なので送水圧は、必然的に10kgf/cm2を超える。

放水圧力は6kgf/cm2でも、左記②の計算により大半は10kgf/cm2を超える。

背圧が小さいと左記②の計算で10kgf/cm2を超えない。

左記②の計算でも10kgf/cm2を超えない。

計算値が9kgf/cm2を超えるものは、切り上げて設計送水圧は10kgf/cm2を超えるものとして扱うよう指導

基準上要求される配管

設計送水圧が10kgf/cm2を超えるので、規則第31条第5号ロにより、使用する配管はJISG3454(圧力配管、スケジュール40)となる。

JISG3452又はJISG3454(圧力配管)

表示

設計送水圧が10kgf/cm2を超えるものは、送水口の付近に黄色の反射板を設置し、使用する配管が圧力配管等の高圧仕様となっていることを識別できること。


備考 防火対象物の例示の図中「kgf/cm2」は「k」と、「スプリンクラー設備」は「SP」と表示。

2 消防長が指定した水頭

規則第31条第6号イ(ロ)の規定により、消防長が指定する水頭(規則第31条第6号イに規定する高さ(70メートル)を超える階にスプリンクラー設備を設置する防火対象物に係るものを除く。)は、100メートルとする。


原則 100メートル(スプリンクラー設備の設けられていない物は、フォグガンを使える水頭とした。)

括弧内の例外規定が適用できるもの 60メートル

防火対象物の例示

全階スプリンクラー設備未設置

規則第31条第6号イに規定する高さ(70メートル)を超える一部の階のみスプリンクラー設備を設置

規則第31条第6号イに規定する高さ(70メートル)を超える階にスプリンクラー設備が令第12条第2項及び第3項の技術上の基準に従い設置されていること。………「通知」1.(2)

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指定水頭

h4=100メートル

h4=60メートル

ポンプ性能

最上階において次の2通りの性能を満足すること。

・放水量 800リットル/分時に100メートルのノズル水頭(=10kgf/cm2)が得られること。(フォグガン)

最上階において

・放水量 2400リットル/分時に60メートルのノズル水

・放水量 2400リットル/分時に60メートルのノズル水頭(=6kgf/cm2)が得られること。(21ノズル)

(=6kgf/cm2)が得られること。(21ノズル)

表示

最上階において規定されたノズル圧を得るのに必要な設計送水圧を、送水口付近に表示すること。

備考 防火対象物の例示の図中「スプリンクラー設備」は「SP」と表示。

防火管理及び消防用設備等の設置に関する指導基準

平成31年3月29日 消防本部告示第3号

(令和元年10月1日施行)

体系情報
第11編 防/第2章 消防本部・消防署/第3節 消防活動
沿革情報
平成31年3月29日 消防本部告示第3号