○南魚沼市議会基本条例
令和6年12月9日
条例第38号
市政の運営は、市民から選挙で選ばれた議員により構成される南魚沼市議会と、同じく市民から選挙で選ばれた南魚沼市長との代表機関で構成する。この2つの代表機関は、ともに市民の負託に応える責任を負い、日本国憲法に基づく「二元代表制」の下で、市長と議会が相互の抑制と均衡を図るものとする。「住民自らが考え、決定し、実行する」とする地方自治の精神にのっとり、市長は執行機関として、議会は合議制の議決機関として、市民の意思を市政に的確に反映させるために、互いに競い合い、協力し合いながら、最良の意思決定を導かなければならない。そして、このことにより人口減少、少子高齢社会においても市民福祉の向上、地域社会の活力ある発展を目指す使命が課せられている。
南魚沼市議会は、この使命を厳粛に受け止め、その達成に向け議会運営の最高規範である南魚沼市議会基本条例を制定し、議会の基本理念をはじめ、議会のあるべき姿、役割を明確にした議会運営を行うことで、議会に求められる行政の監視機能、政策提言や政策立案機能を高める。
その前提として、積極的な情報の公開、情報の共有を行い、また市民の多様な意見を把握し、更に市民の市政への参加を求めていくことが必要である。加えて、議会の構成員である議員が活動していくに当たっての、根幹となる基盤を共有することも必要である。それらの議会運営の根本原則を制定し実践することにより、市民に開かれた議会を実現し、市民に分かりやすく信頼される議会を築くことを基本とする。
(目的)
第1条 この条例は、南魚沼市議会の議会運営の基本事項を定めることにより、議会及び議員の活動の活性化と充実を図り、もって市民の利益と福祉の増進、及び市政の発展に寄与することを目的とする。
(最高規範性)
第2条 この条例は、議会における最高規範であり、議会運営及び議員活動については、この条例が遵守されるとともに、その趣旨が最大限尊重されなければならない。
2 議会に関する条例、規則等(以下「議会関係条例等」という。)の制定、改廃並びに解釈及び運用については、この条例の趣旨が尊重され、この条例との整合が図られなければならない。
(基本理念)
第3条 議会は、市民の厳粛な信託を受けた議員により構成される合議制の議事機関であることに鑑み、その運営に当たり、公正かつ公平で民主的な議論を十分に尽くすことを旨とし、地方自治の本旨の実現に努めなければならない。
(議会の活動原則)
第4条 議会は、次に掲げる原則に基づき議会活動を行わなければならない。
(1) 市民のための代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を確保し、市民に開かれた議会運営を行う。
(2) 議会が議員及び市長の自由な討議の場であるとの認識を持ち、その実現のために、この条例に規定するもののほか、議会関係条例等の継続的見直しを行う。
(3) 市民の議会への関心を高めるために、議案審査資料の提供やウェブサイトでの資料の掲載等、積極的な議会運営を行う。
2 議会は、災害時においても議会の機能を的確に維持しなければならない。
(委員会の活動)
第5条 委員会は、その所管に属する市の事務に関する調査又は付託された事件の審査において、これらの事項を最良の意思決定に導くため、会議における討議を十分に尽くすよう努めなければならない。
(議員の活動原則)
第6条 議員は、次に掲げる原則に基づき議員活動を行わなければならない。
(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に理解し、議員相互の自由闊達な討議を重んじること。
(2) 市政全般について、課題別、地域別等の市民の意見を的確に把握するとともに、自らの能力を高める努力をし、市民の負託に応えること。
(3) 特定の団体及び地域の代表にとどまらず、市民全体の福祉の増進を目指して活動すること。
(4) 議員発議による条例制定に取り組むなど立法機能の発揮に努めること。
(一般質問)
第7条 議員は、本会議において、市の一般事務について質問をすることができる。
2 前項の質問は、次に定める内容を基本とする。
(1) 政策、計画、事業等(以下「政策等」という。)について、総合的かつ大局的に、根幹を質し、その適正な実施につき監督することを本旨とするもの
(2) 市政一般について、総合的かつ大局的に、その大綱を質し、所信を明らかにすることを本旨とするもの
3 議員は、第1項の質問に当たり、論点及び争点を明確にすることにより、広く市民の市政に対する理解と関心を高めるよう努めなければならない。
4 市長は、議長の許可を得て、質問の趣旨を確認するため反問をすることができる。
(議長の責務)
第8条 議長は、議会を代表して中立公正な職務遂行に努めるとともに、議会の品位を保持し、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。
2 議長は、緊急かつ重要な案件が発生した場合には、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第101条第2項の規定に基づき、市長に対し、速やかに臨時会の招集を請求しなければならない。
3 議長は、前項の規定による請求のあった日から20日以内に市長が臨時会を招集しないときは、法第101条第5項の規定に基づき臨時会を招集しなければならない。
4 議長は、法第101条第3項の規定による請求のあった日から20日以内に市長が臨時会を招集しないときは、同条第6項の規定に基づき臨時会を招集しなければならない。
(議長及び副議長の選挙における所信表明)
第9条 議長及び副議長を投票による選挙で選出する場合において、これらの職に就くために立候補する議員は、選挙の実施に先立って所信を表明することができる。
(会派)
第10条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、政策等の立案、提言、決定等に際しては、会派間で自由な討議と調整を行い、合意形成に努めるものとする。
(議会事務局の体制整備)
第11条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案能力を高めるため、議会事務局の調査機能及び法務機能を積極的に強化し充実に努めるものとする。
(議員研修の充実強化)
第12条 議会は、議員による政策の形成及び立案の能力向上を図るため、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努めるものとする。
(議会図書室)
第13条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の図書等の充実に努め、その有効活用を図るものとする。
(議会広報の充実)
第14条 議会は、市政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、常に市民に対して周知するよう努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
(情報及び会議の公開)
第15条 議会は、議会活動に関する情報公開を徹底するとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会の本会議、委員会及び議会全員協議会は、会期中又は閉会中を問わず、原則公開とする。
(専門的知見の活用及び意見の聴取)
第16条 議会は、本会議及び委員会の運営に当たり、必要に応じて参考人制度及び公聴会制度を活用し、専門的知見を議会の討議に反映させるものとする。
2 議会は、請願及び陳情の審議においては、必要に応じて提出者の意見聴取を行う機会を設けることができる。
3 議会は、市民との意見交換の場を通じて、自らの政策立案能力の強化及び政策提案の推進に努めるものとする。
(議員並びに市長及び執行機関職員との関係)
第17条 議会審議における議員並びに市長及び執行機関職員(以下「市長等」という。)は、互いに対等な緊張関係の保持に努めるものとする。
(政策等の形成過程の説明請求)
第18条 議会は、市長から政策等の提案があったときは、その形成過程を明らかにし、議会審議を深め、政策等の水準を高めるため、市長に説明を求めることができる。
(予算及び決算の審議又は審査)
第19条 議会は、予算及び決算の審議又は審査に当たっては、市長等に対して、立案又は執行における論点又は争点を明確にし、執行後の政策評価に資する審議又は審査に努めなければならない。
(政務活動費)
第20条 政務活動費の交付を受けた会派及び議員は、その制度の趣旨を深く自覚し、誠実かつ公正に政務活動費を執行しなければならない。
2 議長は、政務活動費の使途の透明性を確保するため、政務活動費に関する書類の積極的な公開に努めなければならない。
(議員定数及び議員報酬)
第21条 議会は、議員定数及び議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点のほか、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、市民意見の聴取に努めるものとする。
2 議員定数及び議員報酬に関する条例の改正議案は、市民の直接請求及び市長からの提出を除き、改正理由を付して委員会又は議員が提出するものとする。
(議員の政治倫理)
第22条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、品位の保持に努め行動しなければならない。
(見直し手続)
第23条 議会は、この条例の施行後、市民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の見直しを行うものとする。
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この条例は、令和7年1月1日から施行する。