南魚沼市環境保全型農業推進方針
基本的な考え方
1.地域農業の現状と課題
本市は、群馬県境に程近い新潟県南部に位置し、農家数4,812戸、農地面積6,460ヘクタールとなっている。越後三山から連なる山々に囲まれ、そこを源に発する河川の扇状地形から形成され、豊富な水と肥沃な土壌、昼夜の温度差が大きい山間地特有の気候風土、これらの恵まれた自然環境を生かして稲作、露地作物を中心とした農業生産が展開されている。
本市は、豊富な水を湛える清流魚野川をはじめ登川、三国川、水無川など多くの中小河川を有し、農業生産に限らず多面でその恩恵に浴し発展を遂げてきた。市民にとって河川は発電や飲料水の供給など生活を支える源であるだけでなく、多様な生物を育み生活に安らぎを与える場でもあり、水質汚染に対する市民の関心は高い。
こうした中で、基幹産業である農業がより発展していくためには、可能な限り環境負荷の少ない農業生産方式によって水辺環境などの保全を図り、農業に対する市民のコンセンサスを得ることが重要な課題となっている。
また、本市には、持続的な農業の営みを通じて、多様な野生動植物が生息生育する生物多様性が豊かな空間が存在している。このため、今後とも、市民に安全で良質な食料や生物多様性が豊かな自然環境を提供できるよう、生物多様性保全をより重視した農業生産や田園地域・里地里山の保全などを推進する必要がある。
さらに、国民の食料への安全・安心の関心が高まるなかで、消費者ニーズに対応した良質な農産物の供給も大きな課題であることから、環境保全型農業を推進することにより市場への安定供給を図りたい。
2.今後の推進方向
本市はこれまでも環境保全型農業を進めるため、農薬・化学肥料低減による減減農法を推進してきたところであるが、取組は点的なものに止まっている。
今後は、幅広い農業者の協力を得つつ、環境保全・景観に配慮した農業生産基盤の確立などを積極的に進めるとともに、環境保全型農業の面的拡大を図り、農業生産活動に伴う一層の環境負荷の軽減を目指す。併せて、生きものと共生する農業生産の推進を図る視点で、生物多様性に効果の高い営農活動の導入を図る。
推進体制および方策
推進体制
1.各種関係団体の協力・助言
環境保全型農業を推進するため、以下の個人や機関・団体など、必要に応じて学識経験者などから助言を得て、また、協力して推進を図って行くこととする。
- 生産者、生産者団体
- 消費者代表、消費者団体
- 県関係機関
- 学校・教育機関
- その他(必要に応じて学識経験者など)
2.南魚沼市環境保全型農業推進方針講習会などの開催
環境保全型農業推進方針を農業者に徹底するため、インターネットなどを活用して周知を 図り、また、必要に応じて推進方針講習会を開催する。
3.消費者との交流、啓蒙活動の実施
環境に配慮した農法によって地域の環境保全に貢献し、安全で安心な農産物を生産する市内生産者の姿勢を、イベントなどを通して消費者に理解してもらい、農業に対する市民のコンセンサスを得るものとする。
推進方策
有機質資源の有効活用と温湯種子消毒、除草用動物の利用などの防除技術を向上させることにより、農薬、化学肥料の使用量を極力減らすことによる環境負荷低減を推進する。また、水辺環境の向上に資するため、米の収穫後の冬期間において、水田を活用した湛水管理を実施することにより、生物の多様性保全の取り組みを推進する。
1.土づくり肥料
- 新潟県の施肥基準の見直しに合わせた新施肥基準の周知徹底
- 土壌診断・生育診断に基づく適正な施肥管理
- 耕種農家と畜産農家との連携による家畜ふん尿リサイクルの促進
- 適正な漏水防止対策の指導
2.防除
- 病害虫発生予察による適期防除
- 生物農薬やフェロモン剤、マルチフィルムなどの有効利用
- 抵抗性品種、台木の導入
3.その他
- 水田生態系の質的向上につながる、冬期間の湛水管理や有機農業または江の設置の実施
取組目標
環境保全型農業の推進にあたっては、推進方針を基に、地域ごとの現状を踏まえて、環境負荷低減に資する農業生産技術の普及・定着とその周辺環境の整備を図る。また、エコファーマー制度などの周知を徹底することにより、有機農業や減農薬・減化学肥料栽培などの取り組み面積の更なる増加を目標に推進する。
なお、具体的な数値目標については、技術の進展状況に応じて、平成31年度に見直しを行うものとする。
項目 |
現状(平成27年度) |
目標(平成31年度) |
---|---|---|
エコファーマー認定者の拡大 |
398人 |
417人 |
減農薬・減化学肥料栽培(県認証に基づく)の取組面積の拡大 |
679.82ヘクタール |
713.81ヘクタール |
有機農業面積の拡大 |
48.98ヘクタール |
51.42ヘクタール |
冬期湛水管理の取組面積の拡大 |
2.13ヘクタール |
2.23ヘクタール |
作物別生産体系
「新潟県持続性の高い農業生産方式の導入に関する指針」に準ずる。
その他必要な事項
冬期湛水管理については、市内全域を対象に推進を図ることとし、原則10月から12月までの間、地下水や排水路からのポンプアップなどと畦塗りなどにより連続2か月間以上、田面が隠れる程度の湛水状態の維持に努めるものとする。
冬期湛水に関する留意事項
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