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ホーム市長の部屋市長日記「無罣礙(むーけーげー)」令和6年度「むーけーげー(無罣礙)」 令和6年4月1日

「むーけーげー(無罣礙)」 令和6年4月1日

掲載日:令和6年4月1日更新

鶏が先? それとも?

7年前、このコラムに「春は黄色が特に似合う」と書いたことがありました。春を告げるマンサクや水仙、何より体の半分もあるようなランドセルを背負った新1年生の黄色い通学帽。交通安全で大人の手本を示そう、と呼びかけたものでした。さて今は?

自責も含め少し恥ずかしいのは、歩行者のいる横断歩道で車が一時停止しない全国ワーストが本県、との報道。長野県は停止率全国トップで、我が方は違反という意識も低いのだと。本当に気をつけましょう!

昨秋、締結40周年を記念して姉妹都市オーストリア共和国・チロル州セルデン町を訪ねました。そこで驚かされた気付きが1つ。「信号機がなくなっている」こと。正確には、首都や州都にはあるが最小限という印象で、中小規模の街には探しても信号機が見当たらない。あれだけのリゾート地で、車が多く行き交うセルデンにも歩行者用も含めて。

一方、横断歩道の設置の多さには目を見張りました。歩行者が立ち、あるいは近づけば止まらない車は皆無で、そこ以外で道を横切る人がいないことも驚きでした。聞けば、横断歩道上の事故は車の過失割合が高いが、逆にそうでない場所は歩行者の過失が高いという。ハッとしました。被害と加害、権利意識が極端過ぎるとも思える現在の日本。私たちの常識が通じないと知らされることは他にも。

雪山のスキーコース外には「この先、パトロールリミット」と書かれた小さな注意看板が掲げられるだけ。行くのは自由だがあなたの責任、と解されるか。険しい山道にも街の道路や歩道、踏切にさえも日本のようなガードレールの林立はないのです。例えば、雄大なアルプスに切妻屋根と窓辺を飾る花々の美しい風景。誰もが憧れる彼の地ですが、実は景観保護の決まりがあって植栽が義務化されている。「でも、決まりなどなくても当たり前に皆が飾ります」と誇らしげな住民。

鶏が先か、それとも卵か?の例え話がありますが、成熟した大人な社会とはどちらなのか、と思えてならなかったのです。

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