掲載日:平成30年7月18日更新
鎌倉沢川砂防堰堤
鎌倉沢川の砂防堰堤(さぼうえんてい)が平成27年3月13日に国の文化審議会での答申を受け、平成27年8月4日に登録有形文化財(建造物)登録されました。
現在も残る12の堰堤・床止(とこどめ)のうち8基が登録となり、南魚沼市では初めての登録でした。
鎌倉沢川砂防堰堤は妙高市の万内川砂防に続く県内最初期の砂防事業で築かれた砂防堰堤群です。渓流全域に堰堤・床止を配置する砂防工事としては、国内でも初期のもので、直線的な流路に堤高を抑えた堰堤が階段状に連なります。このことから国土の歴史的景観に寄与しているとして登録有形文化財に登録されています。
名称 | 堤長 | 堤高 | 建設年 | 所在地 | 種別 |
---|---|---|---|---|---|
鎌倉沢川第二十三号床止(かまくらさわかわだいにじゅうさんごうとこどめ) | 17メートル | 1.4メートル | 昭和10年(1935年) | 南魚沼市吉里 | 土木・治山治水 |
鎌倉沢川第一号床止(かまくらさわかわだいいちごうとこどめ) | 26メートル | 1.5メートル |
昭和2年(1927年) |
南魚沼市吉里 | 土木・治山治水 |
鎌倉沢川第一号堰堤(かまくらさわかわだいいちごうえんてい) | 45メートル | 3.6メートル | 昭和2年(1927年) | 南魚沼市吉里 | 土木・治山治水 |
鎌倉沢川第二号堰堤(かまくらさわかわだいにごうえんてい) | 32メートル | 2.7メートル | 昭和3年(1928年) | 南魚沼市吉里 | 土木・治山治水 |
鎌倉沢川第五号堰堤(かまくらさわかわだいごごうえんてい) | 31メートル | 3.0メートル | 昭和4年(1929年) | 南魚沼市吉里 | 土木・治山治水 |
鎌倉沢川第六号堰堤(かまくらさわかわだいろくごうえんてい) | 29メートル | 3.0メートル | 昭和5年(1930年) | 南魚沼市吉里 | 土木・治山治水 |
鎌倉沢川第八号堰堤(かまくらさわかわだいはちごうえんてい) | 33メートル | 3.9メートル |
昭和5年(1930年) |
南魚沼市吉里 | 土木・治山治水 |
鎌倉沢川第九号堰堤(かまくらさわかわだいきゅうごうえんてい) | 13メートル | 3.0メートル | 昭和7年(1932年) | 南魚沼市吉里 | 土木・治山治水 |
鎌倉沢川第五号堰堤
鎌倉沢川第八号堰堤
鎌倉沢川砂防工事竣工記念絵葉書(第一号から五号堰堤)(昭和11年)
鎌倉沢川砂防堰堤について
鎌倉沢川は毎年のように氾濫を繰り返してきました。そこで昭和2年から昭和10年にかけて近代砂防の第一人者赤木正雄博士の指導の下、新潟県内において砂防流路工(渓流保全工)が初めて施工されました。石積み技法により建設された堰堤は約80年にわたり、その機能を維持し地域の発展に大きく寄与しました。
平成23年7月の新潟・福島豪雨により被害を受けましたが、構造や機能の強化、向上を図りつつ施工当時の外観や工法を考慮した復旧がされました。
鎌倉沢川砂防堰堤群から約2キロメートル下流にかまくら桜ヶ丘公園があります。この公園内には旧河川が一部残されており砂防施設の一部を見ることができます。
温泉御宿龍言本館(旧松崎家住宅主屋)
温泉御宿龍言本館(旧松崎家住宅主屋)が平成30年3月9日に開催された国の文化審議会で国の登録有形文化財(建造物)に登録するよう答申が出され、平成30年5月10日に登録されました。
温泉御宿龍言本館(旧松崎家住宅主屋)は昭和44年に南魚沼市吉里地内から移築されたものです。建築年代は建築物の特徴から明治前期と推定されています。建物は切妻造りの平入で前後に切妻屋根の中門が備わっています。前中門の玄関脇に広間を設け、その奥に相の間を挟んで座敷2室を前後に並べています。現在は宿泊施設となっていますが建物の内外ともこの地域の上層農家の形式をよくとどめています。
名称 | 所在地 | 建設年代 | 登録基準 | 種別 |
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温泉御宿龍言本館(旧松崎家住宅主屋) (おんせんおんやどりゅうごんほんかん(きゅうまつざきけじゅうたくしゅおく)) |
南魚沼市坂戸字道端1番地6 | 明治前期、昭和44年移築 | 造形の規範となっているもの | 建築物・住宅 |
登録有形文化財について
登録有形文化財
登録有形文化財は、近年の国土の開発、都市化の進展、生活様式の変化等により、社会的評価を受ける間もなく消滅の危機にさらされている多種多様な多くの近代建築物を、有形文化財として後世に幅広く継承していくために制定されました。
国は、保存及び活用の特に必要とされる有形文化財の建造物を、文化財登録原簿に登録することができます。
現状変更・修理・公開といった行為には文化庁長官への指導・助言・勧告を基本とする緩やかな保護処置を講じることとなります。重要指定文化財の指定制度にみられる許可及び指示・命令といった強い規制によって手厚い保護を行うものを保管する制度として位置づけられています。
登録基準
建築物、土木構造物及びその他の工作物(重要文化財及び文化財保護法第98条第2項に規定する指定を地方公共団体が行っているものを除く。)のうち、原則として建設後50年を経過し、かつ、次の各号に該当するもの
- 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 造形の規範となっているもの
- 再現することが容易でないもの