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南魚沼市
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越後上布(えちごじょうふ)

掲載日:令和6年2月19日更新

越後上布とは

越後上布は、原料に「苧麻(ちょま・カラムシ)」を用いた、通気性に富み、シャリ感といわれるサラリとした着心地の夏物としては最上級の麻織物です。その製作技術は伝統的な麻織物の製法を現代に伝えるものであり、希少性が高いことなどから、昭和30(1955)年に国の重要無形文化財に指定され、平成21年にはユネスコ無形文化遺産代表リストにも記載されました。このユネスコ無形文化遺産リストへの記載は、染織技術部門としては日本で第1号目の登録でした。

「小千谷縮・越後上布(おぢやちぢみ・えちごじょうふ)」は、江戸時代から明治時代のころには「越後縮(えちごちぢみ)」と呼ばれていましたが、その後行政単位の細分などにより、主に南魚沼地域で生産される平織のものを「越後上布」、小千谷地域で生産される緯糸により強い撚りをかけ、独特のしわ(シボ)のあるものを「小千谷縮」と呼び分けるようになっていきました。

しかし、そもそもの起源が同じであり、基本的な製法(技術)は同じものであることから、「小千谷縮・越後上布」として、重要無形文化財に指定されています。

越後上布の着物

(写真)越後上布の雪ざらし

越後上布・小千谷縮布技術保存協会

小千谷縮・越後上布は、小千谷地域と南魚沼(塩沢)地域の2つの地域で生産されていますが、貴重な技術を保存するためにこの2地域の技術保存団体が1つになり、設立されたのが「越後上布・小千谷縮布技術保存協会」です。

現在、文化財保護法で重要無形文化財はその技術保持者(団体)を各個認定・総合認定・保持団体認定の3方式の認定制度がとられています。小千谷縮・越後上布の場合は、「保持団体認定」となっており、この越後上布・小千谷縮布技術保存協会は保持団体として認定を受けています。

本部事務局は塩沢織物工業協同組合内にあります。

  • 塩沢
    所在地 〒949-6435新潟県南魚沼市目来田107-1
    電話番号 025-782-1127
    ファックス番号 025-782-1128
  • 小千谷
    所在地 〒947-0028新潟県小千谷市城内1丁目8‐25
    電話番号 0258-83-2329
    ファックス番号 0258-83-2328

越後上布・小千谷縮布技術保存協会ホームページ

「小千谷縮・越後上布」伝承者養成事業

越後上布・小千谷縮布技術保存協会では指定された技術を保存し後世に残し伝えるために、「苧績み」「いざり機」「絣づくり」の3部門の技術伝承者養成事業を行っており、後継者の育成と技術の保存・継承に努めています。

  • 伝承者養成事業「いざり機」部門講習会

織り部門講習会の様子

栃窪地区の苧麻畑

越後上布・小千谷縮布技術保存協会は、越後上布の原料となる苧麻について知るために「試験畑」として栃窪に80坪ほどの畑をもうけ、管理しています。

毎年、保存協会は地元栃窪小学校の児童たちに手伝ってもらいながら、6月の焼畑及びネット張り、10月のネット外しの作業を行っています。

栃窪地区の苧麻畑 栃窪地区の苧麻

苧麻とは

(写真)苧麻の葉

苧麻(ちょま)は、越後上布の原料です。イラクサ科の宿根植物で「カラムシ」とも呼ばれます。丈夫な繊維が採れるため、原始・古代より織物の原料として利用されてきました。

かつては、全国どこでも苧麻の畑を見ることができましたが、現在、本州では福島県大沼郡昭和村が唯一の産地です。成長した苧麻の茎の皮をはいで取り出し精製した繊維を「青苧(あおそ)」と言い、小千谷縮・越後上布の原料となる青苧も昭和村産を使用しています。

昭和村で伝承されている苧麻の生産技術と青苧と製作する苧引きの技術は、国指定重要文化財「小千谷縮・越後上布」にとって上質な原材料を供給する重要な技術であることから、国選定保存技術になっており、「昭和村からむし生産技術保存協会」が保存団体の認定を受けています。

福島県大沼郡昭和村

福島県昭和村のホームページ

各種事業など

のびのび越後上布体験講座

毎年7月下旬~8月上旬の夏休みの時期に市内の小学3~6年生を対象に、苧麻畑の見学、草木染、織りなどを体験する講座を行っています。

のびのび越後上布体験講座の苧麻畑見学 のびのび越後上布体験講座の草木染体験

越後上布体験講座

毎年2月下旬~3月上旬に、越後上布の糸づくりや絣づくり、いざり機(地機)織りなどの各種製作技術の解説や体験、雪ざらしを体験する講座を行っています。越後上布技術保持者から解説を聞きながら、技術の見学・体験できる貴重な体験講座です。

越後上布体験講座の体験中様子 塩沢織物の展示解説

いざり機織り体験の様子 雪晒し体験をする小学生

全国重要無形文化財保持団体協議会

全国重要無形文化財保持団体協議会は、全国の重要無形文化財保持団体に認定されていている団体と関係する自治体が協調し、重要無形文化財の技術保存に関する調査研究やその具体的方策の推進を図り、重要無形文化財の技術伝承や保存活用に資することを目的に平成4年に設立した団体です。

現在、国の重要無形文化財に指定されている16保持団体と関係する24市町村により構成されています。

主な活動としては、毎年秋に16保持団体の所在する自治体が持ち回りで、重要無形文化財の作品を展示する秀作展を実施しています。近隣の自治体で秀作展の実施がある際には、ぜひ観覧いただき、貴重な重要無形文化財の技術をぜひご覧ください。

全国重要無形文化財保持団体協議会加盟団体について

全国重要無形文化財保持団体協議会加盟団体一覧(令和2年4月現在)
重要無形文化財名 保持団体 関係市町村
柿右衛門(濁手) 柿右衛門製陶技術保存会

佐賀県有田町

色鍋島 色鍋島今右衛門技術保存会

佐賀県有田町

小鹿田焼 小鹿田焼技術保存会 大分県日田市
小千谷縮・越後上布 越後上布・小千谷縮布技術保存協会 新潟県南魚沼市・小千谷市
結城紬 本場結城紬技術保持会

茨城県結城市・八千代町

栃木県小山市・下野市

久留米絣 重要無形文化財久留米絣技術保持者会 福岡県久留米市・筑後市・八女市・広川町・大木町
喜如嘉の芭蕉布 喜如嘉の芭蕉布保存会 沖縄県大宜味村
宮古上布 宮古上布保持団体 沖縄県宮古島市
久米島紬 久米島紬保持団体 沖縄県久米島町
伊勢型紙 伊勢型紙技術保存会 三重県鈴鹿市
輪島塗 輪島塗技術保存会 石川県輪島市
津軽塗 津軽塗技術保存会 弘前市
石州半紙 石州半紙技術者会 島根県浜田市
本美濃紙 本美濃紙保存会 岐阜県美濃市
細川紙 細川紙技術者協会 埼玉県小川町・東秩父村
越前鳥の子紙 越前生漉鳥の子紙保存会 福井県越前市

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