○南魚沼市消防本部救急業務実施規程

平成29年12月28日

消防本部訓令第2号

(目的)

第1条 この訓令は、南魚沼市消防本部が行う救急業務について、必要な事項を定め、救急業務の能率的運営を図ることを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この訓令における用語の意義は、次の各号に定めるところによる。

(1) 救急業務とは、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に定める救急業務をいう。

(2) 救急事故とは、法及び消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)に定める救急業務の対象である事故及び疾病をいう。

(3) 救急自動車とは、救急業務を行う自動車をいう。

(救急隊の編成)

第3条 消防長は、救急隊員(救急隊員及び准救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号。以下「応急処置等の基準」という。)第2条第1項に規定する救急隊員をいう。以下同じ。)及び救急救命士(救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第2項に規定する救急救命士をいう。)の資格を有する隊員をもって救急隊を編成するよう努めるものとする。

2 救急隊は、隊員3人以上をもって編成するものとする。ただし、転院搬送については、医師、看護師等が同乗する場合には、隊員2人をもって編成することができるものとする。

(救急隊長)

第4条 救急隊の隊員のうち1人は、救急隊長(以下「隊長」という。)とする。

2 隊長は、上司の命を受け、隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うように努めなければならない。

(隊員の訓練)

第5条 消防長は、隊員に対し、救急業務を行うに必要な学術及び技能を習得させるため、常に教育訓練を行うよう努めなければならない。

(隊員の服装)

第6条 隊員が救急業務を行う場合の服装は、消防吏員服制基準(昭和42年消防庁告示第1号)に定める基準によるほか、次の各号に定めるとおりとし、必要に応じて感染防止衣を着用するものとする。

(1) 救急帽に代わり支給されたアポロキャップを着用する。ただし、安全を確保するため必要があるときは、保安帽を着用するものとする。

(2) 救急服は、替えり及び肩章カバーをつけないものとする。

(3) 救急服を支給されていない場合は、支給された活動服等を着用する。

(4) 救急靴は、支給された短靴等とする。

(救急自動車の要件)

第7条 救急自動車は、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に定める緊急自動車の基準に適合し、かつ、第10条第1項に定める資器材を積載できる構造のものであること。

(高規格の救急自動車の配置)

第8条 消防長は、応急処置等の基準第6条第3項に規定する応急処置を行うために必要な構造及び設備を有する救急自動車を配置するよう努めるものとする。

(救急自動車の標示)

第9条 救急自動車の側面には、「南魚沼市消防本部」と標示するものとする。

(救急自動車に備える資器材)

第10条 救急自動車には、応急処置及び通信等に必要な資器材で別表第1に掲げるものを備えるものとする。

2 消防長は、救急自動車には、前項に定めるもののほか、応急処置、通信及び救出等に必要な資器材で別表第2に掲げるものを備えるよう努めるものとする。

(救急隊の出動)

第11条 消防長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない。

2 消防長は、前項の救急事故において、次の各号に該当する場合は、支援隊を出動させるものとする。

(1) 救急隊が出動中等で、現場到着が遅延する場合

(2) 狭い場所、急階段、中高層建物及び駅構内等における救急事故で、傷病者の搬送が困難と判断される場合

(3) 加害等による救急事故で、隊員及び傷病者等の安全確保を図る必要があると判断される場合

(4) 関越自動車道及び幹線道路で発生した救急事故で、救急隊の円滑な救急活動が保持できない場合又は隊員及び傷病者等の安全確保を図る必要があると判断される場合

(5) 気象状況から必要があると判断される場合

(6) その他、隊長が必要と判断した場合

(口頭指導)

第12条 消防長は、救急要請時に、指令室又は現場出動途上の救急自動車等から、救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。

(搬送を拒んだ者の取扱い)

第13条 隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。ただし、搬送を拒んだ場合であっても、隊長が傷病者の傷病程度等から搬送の必要があると判断した場合は、状況を説明し搬送するよう努めるものとする。

2 前項に規定する関係者とは、傷病者が的確な意思表示を欠く場合に、責任ある行動が取れる者を指し、めいてい者等の場合は警察官も含むものとする。

(医師の要請)

第14条 隊員は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合

(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合

(3) 傷病者の救助活動に長時間を要する等で、現場での医療が必要と認められる場合

(死亡者の取扱い)

第15条 隊員は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。

2 前項に規定する、傷病者が明らかに死亡している場合とは、次の各号に掲げる場合とする。

(1) 頸部又は体幹部が離脱している場合

(2) 次のからまでの全てに該当する場合

 意識レベルが、ジャパンコーマスケール300であること。

 呼吸が全く感じられないこと。

 総頸動脈で脈拍が全く触知できないこと。

 瞳孔の散大が認められ、対光反射が全くないこと。

 体温が感ぜられず、冷感が認められること。

 死後硬直又は、死斑が認められること。

3 前項第2号の観察には、次の各号に掲げる事項に十分留意すること。

(1) 傷病者の観察に当たっては、明らかに死亡しているという先入観を持たず、慎重に行うとともに、聴診器、血圧計、心電図等の観察用資機材を活用し、的確に行うこと。

(2) 判断に迷う場合は、医師に報告し指示、指導、助言を受けること。

(関係者の同乗)

第16条 隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、これに応ずるよう努めるものとする。

(医療機関への搬送)

第17条 隊員は、傷病者を搬送する医療機関の選定に際し、次の各号に定める項目を総合的に判断するとともに、新潟県が定める傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準を遵守し、搬送先を選定するものとする。

(1) 直近の医療機関

(2) 傷病者のかかりつけの医療機関

(3) 傷病者や家族等の関係者が希望する医療機関

(4) 隊員が、傷病者の状態により適当と判断する医療機関

(災害救助法における救助との関係)

第18条 救急業務は、災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用される場合においては、同法の規定に基づく救助に協力する関係において実施するものとする。

(感染症を疑われる者の取扱い)

第19条 隊長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新たな感染症であると疑われる傷病者を搬送した場合は、隊員及び救急自動車の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、この旨を消防長に報告するとともに、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し、所要の処置を講じなければならない。

(要保護者等の取扱い)

第20条 消防長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合においては、同法第19条各項に定める機関に通知するものとする。

(活動の記録)

第21条 隊員は、救急活動を行った場合は、救急活動報告書(様式第1号)に記録し消防長に報告しなければならない。

2 隊員は、傷病者を搬送し、医療機関に引き渡した場合は、傷病者連絡票(様式第2号)に必要事項を記載し医師に引き継ぐとともに、傷病名、傷病程度等について、当該医師の所見を救急活動報告書に記録しておくものとする。

3 隊員は、応急処置等を行うに際し、医師の指示があった場合には、当該医師の氏名及びその指示内容を救急活動報告書に記録しておくものとする。

4 隊員は、魚沼地域メディカルコントロール協議会(以下「魚沼MC」という。)の定める症例の傷病者を医療機関に搬送した場合は、別に定めるプレホスピタルレコードにより消防長に報告するとともに、プレホスピタルレコード(検証票)を搬送医療機関に提出しなければならない。

5 救急救命士は、医師による具体的指示又は包括的指示により救急救命処置を実施した場合は、救急救命処置録を作成し、消防長に報告しなければならない。この場合において、救急救命処置録はプレホスピタルレコードとする。

(家族等への連絡)

第22条 隊員は、傷病者の傷病の状況により必要があると認めるときは、その者の家族等に対し、傷病の程度又は状況等を連絡するよう努めるものとする。

(医療機関との連絡)

第23条 消防長は、救急業務の実施について医療機関と常に密接な連絡をとるものとする。

2 消防長は、前項の規定に基づき知り得た医療機関における空床の状況等の情報については、必要に応じ、近接する他の消防本部の消防長と相互に情報を交換するよう努めるものとする。

(団体等との連絡)

第24条 消防長は、南魚沼市消防本部管内で救急に関する事務を行っている団体等と救急業務の実施について情報を交換し、緊密な連絡をとるものとする。

(消毒)

第25条 消防長は、次の各号に定めるところにより、救急自動車及び積載品等の消毒を行うものとする。

(1) 定期消毒 月1回

(2) 使用後消毒 毎使用後

(消毒の表示)

第26条 消防長は、前条第1項第1号による消毒をしたときは、消毒実施年月日、消毒方法、消毒薬品名及び施行者名等を、別に定める消毒実施表に記入し見やすい場所に保管しておくものとする。

(集団救急事故)

第27条 消防長は、集団救急事故の発生した場合における救急業務の実施については、別に定める南魚沼市消防本部集団救急事故救護計画により行うものとする。

(救急調査)

第28条 消防長は、救急業務の円滑な実施を図るため、次の各号に定めるところにより調査を行うものとする。

(1) 道路状況

(2) 医療機関の所在地、名称及び診療科目

(3) その他消防長が必要と認める事項

(住民に対する普及啓発)

第29条 消防長は、住民に対する応急手当の普及啓発活動を計画的に推進するよう努めるものとする。

(指導救命士)

第30条 消防長は、「新潟県メディカルコントロール協議会指導救命士制度運用要綱」に定める指導救命士の養成に努めるものとする。

2 指導救命士は次の各号に定める役割を担うものとする。

(1) 救急隊員への指導、助言及び研修会等の企画、運営

(2) 事後検証会での指導的役割

(3) 新潟県消防学校救急科の講師

(4) その他消防長が必要と認める事項

(県等との連絡調整等)

第31条 消防長は、新潟県が保有する防災用回転翼航空機により、救急業務を実施する場合は、新潟県消防防災ヘリコプター運航管理要綱(平成7年3月30日付け消第621号新潟県総務部長通知)に基づき、新潟県と必要な調整を図るものとする。

2 消防長は、新潟県が保有する救急医療用回転翼航空機により、救急業務を実施する場合は、新潟県ドクターヘリ運航要領(平成24年10月1日付け新大病医第148号新潟大学医歯学総合病院長通知及び医第1155号新潟県福祉保健部長通知)に基づき、新潟大学医歯学総合病院及び長岡赤十字病院と必要な調整を図るものとする。

(その他)

第32条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。

この訓令は、公布の日から施行する。

別表第1(第10条関係)

分類

品名

観察用資器材

血圧計、血中酸素飽和度測定器、検眼ライト、心電計、体温計、聴診器

呼吸・循環管理用資器材

気道確保用資器材、吸引器一式、喉頭鏡、酸素吸入器一式、自動式人工呼吸器一式、自動体外式除細動器、手動式人工呼吸器一式、マギール鉗子

創傷等保護用資器材

固定用資器材、創傷保護用資器材

保温・搬送用資器材

雨おおい、スクープストレッチャー、担架、バックボード、保温用毛布

感染防止・消毒用資器材

感染防止用資器材、消毒用資器材

通信用資器材

無線装置

その他の資器材

懐中電灯、救急バッグ、トリアージタッグ、のう盆、はさみ、ピンセット、分娩用資器材、冷却用資器材

備考

1 気道確保用資器材は、経鼻エアーウェイ及び経口エアーウェイを含む気道確保に必要な資器材をいう。

2 吸引器一式は、吸引用カテーテルを含む口腔内等の吸引に必要な資器材をいう。

3 酸素吸入器一式は、酸素ボンベ、酸素吸入用鼻カニューレ及び酸素吸入用マスクを含む酸素吸入に必要な資器材をいう。

4 自動式人工呼吸器一式は、換気回数及び換気量が設定できるものとし、手動式人工呼吸器及び酸素吸入器に含まれる資器材と重複するものは共用できるものとする。

5 自動体外式除細動器は、救急救命士が使用するものについては、心電図波形の確認及び解析時期の選択が可能なものが望ましく、魚沼MCの助言等に応じて備えるものとする。

6 手動式人工呼吸器一式は、人工呼吸用のフェイスマスクを含む手動による人工呼吸に必要な資器材をいう。

7 固定用資器材は、副子及び頸椎固定補助器具を含む全身又は負傷部位の固定に必要な資器材をいう。

8 創傷保護用資器材は、三角巾、包帯及びガーゼを含む創傷被覆に必要な資器材をいう。

9 感染防止用資器材は、ディスポーザブル手袋、ディスポーザブルマスク、ゴーグル、N―95マスク及び感染防止衣を含む感染防止に必要な資器材をいう。

10 消毒用資器材は、各種消毒薬及び各種消毒器を含む消毒に必要な資器材をいう。

11 分娩用資器材は、臍帯クリップを含む分娩に必要な資器材をいう。

12 冷却用資器材は、ディスポーザブル瞬間冷却材等とする。

別表第2(第10条関係)

分類

品名

観察用資器材

血糖値測定器

呼吸・循環管理用資器材

呼気二酸化炭素測定器具、自動式心マッサージ器、ショックパンツ、心肺蘇生用背板、特定行為用資器材、ビデオ硬性挿管用喉頭鏡

通信用資器材

携帯電話、情報通信端末、心電図伝送等送受信機器

救出用資器材

救命綱、救命浮環、万能斧

その他の資器材

汚物入、在宅療法継続用資器材、洗眼器、リングカッター

その他必要と認められる資器材

備考

1 自動式心マッサージ器は、魚沼MCの助言等に応じて備えるものとする。

2 特定行為用資器材は、救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第44号)第21条に定める救急救命処置に必要な資器材とし、魚沼MCの助言等に応じて備えるものとする。

3 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡はチューブ誘導機能を有するものとし、魚沼MCの助言等に応じて備えるものとする。

4 情報通信端末は、傷病者情報の共有や緊急度判定の支援等、救急業務の円滑化に資するための機能を有する資器材とし、魚沼MCの助言等に応じて備えるものとする。

5 心電図伝送等送受信機器は、魚沼MCの助言等に応じて備えるものとする。

6 在宅療法継続用資器材は、医療機関に搬送するまでの間において、在宅療法を継続するために必要な資器材とし、魚沼MCの助言等に応じて備えるものとする。

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南魚沼市消防本部救急業務実施規程

平成29年12月28日 消防本部訓令第2号

(平成29年12月28日施行)

体系情報
第11編 防/第2章 消防本部・消防署/第3節 消防活動
沿革情報
平成29年12月28日 消防本部訓令第2号